The previous night of the world revolution~F.D.~
「…何か文句でもあるんですか?」

「おい、喧嘩を売るなよルレイア」

後ろから、ルルシーが俺をたしなめた。

分かってますよ。別に喧嘩は売ってません。

ルシェ相手に普通に喋ろうとしたら、つい語気が強くなるだけです。

「文句ではないが…。帝国騎士団が営利目的で物を作って販売するのは…道義に反するのではないかと思ってな」

道義だと?

お前が言うとお笑いですね。

だが、その点もしっかり考慮してある。

「だから、売り上げは病院や福祉施設、国内のボランティア団体の活動資金として全額寄付するんですよ」

そうすれば、帝国騎士団のイメージアップにも繋がるでしょう。

世の中には、「売り上げは恵まれない子供達の為に寄付します」と銘打つだけで購買意欲が上がる、物好きな偽善者が一定数いるそうなので。

そういう奴らに媚を売っておくのも、悪くないでしょう。

「成程…。そういうことなら悪くないな。よく考えたものだ」

お褒めに預かり光栄、と言いたいところですが。

あなたに褒められると吐き気がするので、やめてもらえませんかね。

「ふむ。それならルレイア案を採用して良いんじゃないか?これで解決だな」

オルタンス達のお悩みを、見事解決してあげたというのに。

「帝国騎士団のことなのに、こいつらに決めさせて良いのか?」

「腹の中で何を企んでいるのか。信用出来ん」

七番隊隊長のフレイソナや、九番隊のユリギウスが苦言を呈している。

…は?

貴様らが決められないって言ってるから、決めてやってんじゃないか。

青汁、頭からぶちまけてやろうか。

「心配しなくても、今の俺は誇り高きw帝国騎士wなので、あなた方の害になるようなことはしませんよ」

「…とか言いながら、草を生やすんじゃない」

ちょっとルルシー。そんな的確にツッコミ入れないでください。

これはご愛嬌というものですよ。ねぇ?

「反対するなら、代替案を提示して反対してもらえますか」 

代わりになる意見もない癖に。口で「反対」と言うだけなら簡単なんですよ。

「俺よりマシな意見が出せるのなら、の話ですけど」

俺をジロッと睨みつけて、最高に不機嫌なアストラエアである。

あー、やだやだ。老害のいる組織は、これだから。

ま、良いや。俺は言うべきことは言ったし。

お茶汲みもしたし、コピー取り…は必要ないし、電話番はルルシーに止められるし。

「よし、今日の仕事終わり!今日も良い仕事しましたね。さーて、帰りましょうかルルシー」

「は?」

「仕事終わりの息抜きに、カラオケでも寄って帰りましょうかー」

「ちょ、おま、何なんだいきなり。離せって!」

「さーて行きましょー」

俺はルルシーとガッチリ腕を組んで、引き摺るようにして会議室から出ていった。

あばよ、無能共。

「…良いなぁ。俺もルレイアと一緒にカラオケ行きたい…」

「…って、言ってる場合かよ…」

退室する俺の背中に、オルタンスの呟きが聞こえた気がするが。

きっと気の所為ですね。キモいし。
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