The previous night of the world revolution~F.D.~
「え…。開けられない…?」
ルルシーはぽかんとして、ジュエリーボックスに視線を落とした。
…一見、普通のジュエリーボックスに見えますよね。
「これが…?鍵でもかかってるのか?」
「鍵…まぁ、そうですね」
「鍵開けなら、お前得意じゃないか。ルレイアじゃなくても、ルリシヤの手に掛かったら数秒で…」
「さすがのルリシヤでも、このジュエリーボックスを開けられるかどうかは怪しいですね」
「…!」
俺だってピッキングはお手の物だし、セキュリティ対策万全のルルシーのマンションに侵入するくらいには、得意と言っても良い。
ルリシヤは間違いなく、『青薔薇連合会』幹部組の中で一番、ピッキングの心得がある。それは知ってる。
しかし、このジュエリーボックスは…そんなルリシヤですら、手に余る代物だ。
「昔は、このダイヤはカミーリア家の宝物庫に、ガラスケースに入れて保管されていたらしい。だがその時、今回みたいに『ローズ・ブルーダイヤ』を盗み出そうと、強盗に侵入されたことがあってな」
と、ジュリスさんが説明した。
「幸い、その時は盗み出される前に強盗を捕まえて、事なきを得たらしいんだが…。その時の教訓から、ダイヤをもっと厳重に保管しなきゃいけないって話になってな」
「…で、この箱に入れたのか?」
「言っとくが、ただの箱じゃないぞ、これは」
「…とてもそうは見えないが…」
と言って、ルルシーは試しに、とばかりにジュエリーボックスに手を伸ばした。
おっと。それは迂闊ですよ、ルルシー。
「駄目です、ルルシー。触っちゃいけません」
「えっ」
俺が警告すると、ルルシーはピタッと手を止めた。
済みませんね。触りたくなる気持ちは分かるんですが。
「な、何で?爆発でもするのか?」
「爆発はしませんよ。ただ、それには非常に厄介な仕掛けが施されてましてね…」
迂闊に触ることさえ危険なんです。
「ルルシー、あなた、からくり箱って知ってます?」
「…からくり箱?」
「秘密箱とも言うんですが」
「…確か、決まった順番で動かさないと開かない箱、だっけ?」
お。ルルシーも知ってましたね。
その通りです。
「強盗に入られてから、カミーリア家は当時、国内で最も優れたからくり箱の職人に依頼して、非常に複雑な仕掛けを施したからくり箱を作らせたんです」
「…それが、このジュエリーボックスなのか?」
「ご明察」
からくり箱をジュエリーボックス代わりに使うなんて、なかなか粋なことを考えますよね。
そこまでして、『ローズ・ブルーダイヤ』を守りたかったらしい。
「でも…からくり箱なんて、所詮は玩具だろ?」
「普通はな。だが、そのジュエリーボックスは別だ」
と、ジュリスさん。
「天才的からくり箱職人に作らせたそれは、玩具のからくり箱とは訳が違う。それを開けるには、実に何千もの複雑な操作が必要だそうだ」
「な…何千…!?」
気が遠くなりそうな作業ですよね。
それ、本当に開くんですか?
「おまけに、一度でも操作を間違えると、内側から錠がかかる仕組みになってる。そうなると、もう二度とこのジュエリーボックスは開かない」
「えっ…」
「そして、その開け方の手順は、代々カミーリア家の嫡子に、口頭でのみ伝えられている」
「…」
ジュリスさんの説明に、目を見開くルルシー。
…洒落にならない話が続いてますが、ルルシーのその顔…何度見ても素敵ですね。
ルルシーはぽかんとして、ジュエリーボックスに視線を落とした。
…一見、普通のジュエリーボックスに見えますよね。
「これが…?鍵でもかかってるのか?」
「鍵…まぁ、そうですね」
「鍵開けなら、お前得意じゃないか。ルレイアじゃなくても、ルリシヤの手に掛かったら数秒で…」
「さすがのルリシヤでも、このジュエリーボックスを開けられるかどうかは怪しいですね」
「…!」
俺だってピッキングはお手の物だし、セキュリティ対策万全のルルシーのマンションに侵入するくらいには、得意と言っても良い。
ルリシヤは間違いなく、『青薔薇連合会』幹部組の中で一番、ピッキングの心得がある。それは知ってる。
しかし、このジュエリーボックスは…そんなルリシヤですら、手に余る代物だ。
「昔は、このダイヤはカミーリア家の宝物庫に、ガラスケースに入れて保管されていたらしい。だがその時、今回みたいに『ローズ・ブルーダイヤ』を盗み出そうと、強盗に侵入されたことがあってな」
と、ジュリスさんが説明した。
「幸い、その時は盗み出される前に強盗を捕まえて、事なきを得たらしいんだが…。その時の教訓から、ダイヤをもっと厳重に保管しなきゃいけないって話になってな」
「…で、この箱に入れたのか?」
「言っとくが、ただの箱じゃないぞ、これは」
「…とてもそうは見えないが…」
と言って、ルルシーは試しに、とばかりにジュエリーボックスに手を伸ばした。
おっと。それは迂闊ですよ、ルルシー。
「駄目です、ルルシー。触っちゃいけません」
「えっ」
俺が警告すると、ルルシーはピタッと手を止めた。
済みませんね。触りたくなる気持ちは分かるんですが。
「な、何で?爆発でもするのか?」
「爆発はしませんよ。ただ、それには非常に厄介な仕掛けが施されてましてね…」
迂闊に触ることさえ危険なんです。
「ルルシー、あなた、からくり箱って知ってます?」
「…からくり箱?」
「秘密箱とも言うんですが」
「…確か、決まった順番で動かさないと開かない箱、だっけ?」
お。ルルシーも知ってましたね。
その通りです。
「強盗に入られてから、カミーリア家は当時、国内で最も優れたからくり箱の職人に依頼して、非常に複雑な仕掛けを施したからくり箱を作らせたんです」
「…それが、このジュエリーボックスなのか?」
「ご明察」
からくり箱をジュエリーボックス代わりに使うなんて、なかなか粋なことを考えますよね。
そこまでして、『ローズ・ブルーダイヤ』を守りたかったらしい。
「でも…からくり箱なんて、所詮は玩具だろ?」
「普通はな。だが、そのジュエリーボックスは別だ」
と、ジュリスさん。
「天才的からくり箱職人に作らせたそれは、玩具のからくり箱とは訳が違う。それを開けるには、実に何千もの複雑な操作が必要だそうだ」
「な…何千…!?」
気が遠くなりそうな作業ですよね。
それ、本当に開くんですか?
「おまけに、一度でも操作を間違えると、内側から錠がかかる仕組みになってる。そうなると、もう二度とこのジュエリーボックスは開かない」
「えっ…」
「そして、その開け方の手順は、代々カミーリア家の嫡子に、口頭でのみ伝えられている」
「…」
ジュリスさんの説明に、目を見開くルルシー。
…洒落にならない話が続いてますが、ルルシーのその顔…何度見ても素敵ですね。