The previous night of the world revolution~F.D.~
…ったく、オールスター勢揃いだな。

ルヴィアに華弦まで連れてくるとは…。

「ありがとう。来てくれて助かったわ」

「いえ、気にしないでください。シュノさん」

「えぇ。このくらいお安い御用です」

シュノの労いの言葉に、気軽に答えるルヴィアと華弦。

…廊下に、帝国騎士達が無数にぶっ倒れてんのに…。呑気に会話してんな。

「それで…これからどうしますか?」

「そうね…。この後は…」

と、シュノが言いかけたその時。

『シュノ。聞こえる?』

「あ、アイズ」 

シュノが携帯していた『青薔薇連合会』専用無線機から、アイズの声が聞こえてきた。

この声を帝国騎士達が聞いていれば、きっと気づいただろう。

…さっき、『二階西館に集まるように』との指示を出した声と、同一人物であることに。

要するに、さっきの無線機は、アイズがジャックして指示を出し。

シュノとルヴィア&華弦部隊のもとに、帝国騎士達を言葉巧みに誘導したのだ。

恐ろしいことを…。

…まぁ、でもなかなか無線機の声なんて識別出来ないよなぁ。

こんな慌てた状況だったら、なおさら…。

「聞こえてるわ。どうしたの?」

『そろそろ、第二陣をそっちに誘導しても良いかな?』

更なる犠牲者が、積み重ねられようとしている。

「えぇ、勿論よ。準備出来てるわ」

「いつでも構いません」

「こっちも大丈夫です」

シュノも華弦もルヴィアも、帝国騎士を返り討ちにする準備は万全。

…こえぇ…。

導きの声と思って現場に向かったら、3人の死神に刈られるなんて…。

一生のトラウマにならなきゃ良いんだが…。

『分かった。じゃあ誘導を始めるね…。それからルヴィア、君のお嫁さんに頼んだアレも、そろそろ使わせてもらうからね』

「あ、はい分かりました。お願いします」

…アレ?

「…ルレイア、アレって何だ?聞いてるか?」

「えぇ、勿論です。聞いてたら分かりますよ…。…ほら、カモが来た」

ルレイアが指差した先を見ると。

アイズが無線機をジャックして集めた第二陣…帝国騎士達が、わらわらと集まってきていた。

「…!おい、大丈夫か!?」

「誰にやられたんだ?しっかり…」

床に倒れ伏す仲間の帝国騎士を見て、慌てて駆け寄ろうとしたが…。

その時、彼らの持つ無線機が、ジジ、ジジジ…とひとりでに鳴り出した。

な、何だ?

そこから聞こえてきたのは、まるで地獄の底から響く閻魔の声だった。

『オォォォン、ジュ、エン、ナン、ゾウ、ロウ、キョウ、ボォォウ…』

「ひぇぇぇっ!?」

その無機質でお経みたいな声に、俺も背筋がゾッとした。

無線機の声だから、余計抑揚がなくて…まるで幽霊が喋ってるみたいだ。

い、一体何なんだ、この呪いの言葉は?
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