The previous night of the world revolution~F.D.~
ブロテ団長のもとを去るなり、私は二人の協力者に、先程聞いた情報を共有した。

二人共驚いていた。

その上で、協力者の一人が、帝国自警団の権限を使って調べてくれた。

そこで分かったことは…。




「…それで?どうだった?調べがついたんでしょう?」

「…うん。どうやら、この件で『青薔薇連合会』が罪に問われることはなさそうだ」

「…そんな…」

彼の浮かない顔を見て、計画が上手く行かなかったのであろうことは、何となく察していた。

でも、実際にはっきりそうと言われてしまったら、落胆を隠すことは出来なかった。

…今度こそ、上手く行くと思ったのに…。

「くそっ…。あんなに苦労して、ニセの『ローズ・ブルーダイヤ』を作ったっていうのに…!」

私のもう一人の協力者は、悔しそうにテーブルを叩いてそう言った。

…彼の気持ちはよく分かる。

今回の計画は、ブロテ団長にも気づかれないよう、内密に進めたものだった。

『青薔薇連合会』が『ローズ・ブルーダイヤ』を盗んだ…そう見せかける為に、大変な苦労をしたのだ。

それなのに…その計画が実を結ばなかったなんて、私だって受け入れ難い。

だけど…失敗してしまったものは、どうしようもなかった。

「…一体何があったの?」

計画は完璧だったはずだ。

確かに、私達が用意した『ローズ・ブルーダイヤ』は偽物だった。

でも、ニセの『ローズ・ブルーダイヤ』の出来は、相当なものだった。

一見しただけでは、絶対に本物と見分けがつかなかったはずなのに…。

「どうやら、僕達が用意したニセの『ローズ・ブルーダイヤ』…。あれを、『オプスキュリテ』に持って行ったらしんだ」

「…!どういうこと…?」

私達は計画に当たって、『青薔薇連合会』の一派である『ブルーローズ・ユニオン』という組織の下級構成員を買収した。

そして、その買収した構成員に偽物の『ローズ・ブルーダイヤ』を持たせて、帝国騎士団に出頭するよう頼んだ。

その為に、充分な報酬を支払った。

勿論、出頭後はその構成員が無実になるよう、帝国自警団の権限を持って釈放し、海外逃亡の手助けをすることを約束していた。

…それなのに。

買収した構成員は、約束に従わなかった。

「手元にあるニセの『ローズ・ブルーダイヤ』で更にひと稼ぎしようと思ったんだろう。その為に、『オプスキュリテ』に持って行って…」

「…確か『オプスキュリテ』って、『青薔薇連合会』と懇意にしている武器商人よね?」

「そうだよ。で、その『オプスキュリテ』の頭目が、流れてきたニセの『ローズ・ブルーダイヤ』を預かって、『青薔薇連合会』に…ルレイア・ティシェリーに見せたらしい」

「…」

なんてことだ。

一番…渡してはいけない男のもとに…。

「僕らが作ったニセの『ローズ・ブルーダイヤ』を本物かもしれないと思ったルレイア・ティシェリーは、このままじゃ『青薔薇連合会』が罪に問われるからって、証拠を隠滅しようとしたらしい」

「…どうやって?」

「カミーリア家の人間に直接接触して、上手く立ち回ったらしいよ」

「…」

…そう。そんなことだろうと思った。

あの狡猾な男なら、いかにもやりそうじゃないか。
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