The previous night of the world revolution~F.D.~
あの男…ルレイア・ティシェリーが、どんな風にカミーリア家の人々を騙したのか。

作り笑顔を顔に貼り付け、言葉巧みに騙し、卑怯な手を使って人の懐に入り込む。

その光景が、目に浮かぶようだ。

私は、あまりの悔しさと憤りに、爪が食い込むほど強く拳を握り締めた。

…なんてことだ。

「それで…結局、あのダイヤが偽物だってバレたってことか…」

「…そうだね。残念だけど…作戦は失敗だ」

「…」

カミーリア家の人々を味方につけたのなら、もうルレイア・ティシェリーに恐れるものなどないだろう。

これでもう、『青薔薇連合会』を罪に問うことは出来ない。

むしろ、そんなことをしようものなら、ニセのダイヤを作った私達の方が有罪とされてしまう。

多大な時間をかけ、多大な労力をかけ、多大な費用をかけて決行した作戦は…失敗した。

…他ならぬ、ルレイア・ティシェリーに阻まれて。

…畜生。許せない。

あの男は…どれだけ私を馬鹿にして…!

「…落ち着けよ」

私が憤るのを見て、協力者の一人が私を宥めるように言った。

「落ち着いていられる訳がない…!こんなに…また…馬鹿にされて…!」

「分かってる。でも、焦っちゃ駄目だ。まだ機会はある」

「…。…そう…よね。ごめん…」 

そうだ。焦ったら駄目だ。

あのルレイア・ティシェリーを前に、焦りは禁物だ。

慌てることはない。

私達は、確実に歩みを進めている。

諦めずに進めば、いつかあの男の首に届くはずだ。

その首を切り落とし、奴の黒い衣装を自分自身の血で、真っ赤に染めるまで。

私は絶対に諦めない。

…その為には…。

「…考えてる作戦があるの。聞いてくれる?」

「…?あぁ。話してくれ」

非情に冴えて、冷めた私の脳内に、新たな計画が浮かび上がった。

今度こそ、絶対に仕留める。

例え、どんな手段を使ってでも。
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