The previous night of the world revolution~F.D.~
そりゃまぁ、アイドルっちゃアイドルかもしれないけどさ。

…自分で言うか?それ。

しかし、そんなことをいちいち気にする仲間達ではない。

「ルレイアっ…。いらっしゃい」

「今日も素敵ですね、ルレイア師匠」

「ふふふ。そうでしょう?これ、新品なんですよ」

ルレイアは、真新しい真っ黒なコートを着て、くるりとその場で一回転した。

「ね、似合うでしょう?ルルシー」

俺に聞くのかよ。

正直…いつも着てる奴との区別があんまりつかない。

どうせいつも黒だもん。

だが、最近は帝国騎士の制服を見慣れていたから…。

あれに比べると、遥かに…。

「あぁ…まぁ、似合うよ」

俺がそう言うと、ルレイアはそれはもう、両の目をきらきら輝かせていた。

「でしょう?そうでしょう?にゅふふ…」

ご満悦。

喜ぶのは良いけど、その気持ち悪い笑い声やめろ。

それなのに、他の幹部達は。

「ルレイア、嬉しそう…。良かったわ」

「すっかり通常運転で安心したよ」

まるで微笑ましいものでも見るかのように、この台詞である。

…はぁ…。

言いたいことは色々あるが。

でも、こんな下らないやり取りも、久し振りだと新鮮だよな。

何より、ルレイアが嬉しそうだからそれでい、

「…って、くさっ…!」

ルレイアが部屋に入ってくるなり、異様な匂いが鼻をついた。

「ぽへ〜…。頭クラクラする〜」

あまりに刺激の強い匂いに、アリューシャも目を回している。

これ、ルレイアの香水の匂いだよな?

「ふふふ。気づいたようですね?ルルシー」

気づくわ。スメハラだぞ。

「これは俺が作った香水ブランド、『Black Dark Perfume』の看板商品です」

出た。ルレイアの香水ブランド。

いつにも増して、オリエンタルで妖艶な香り。

これが看板商品だなんて…。…ルティス帝国の若者達は、こんな香りをこぞって身に纏おうとするのか。

世も末だな。

「どうです?嗅ぐだけでムラムラしてくるでしょう?」

「窓開けたくなるな…」

「ありがとうございます。ルルシーに褒めてもらって嬉しいです」

いや、褒めた覚えはないんだけど。

畜生…。窓を開けて換気したいが、この部屋、窓は嵌め殺しなんだよな…。

…今度、空気清浄機買ってこよう。
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