The previous night of the world revolution~F.D.~
…さて、こうしてまた、不本意ながらも俺の部屋に幹部組が勢揃い。

いつもなら、ここで(勝手に)お菓子を食べながら、(勝手に)人生ゲームを始めたりするところだが。

今日は、いつもとは少し違っていた。

「さみ〜…」

「よしよし、アリューシャ。タオルケット巻いてあげようね」
 
「アイ公、さんきゅ!」

寒さを訴えるアリューシャに、アイズがタオルケットを持ってきてやった。

またアイズは…アリューシャを甘やかして。

アリューシャは、タオルケットを身体にぐるぐる巻いて、さながら芋虫のようになっていた。

「最近いきなり寒くなってきたけど…。今日は特別に寒いわね…」

シュノも、カイロを両手ですりすりしながら言った。

…本当にな。

そう言われると、なんか余計に寒くなってきた。

ちょっと…部屋の暖房の温度、上げるか。

「今日はまだ良いですよ。問題は今夜、それから明日にかけてです」

ルーチェスが、スマホでネットニュースの天気予報を見ながら言った。

「え。何かあるのか?」

「この冬最強の寒波が来るそうですよ。寒さ対策を万全にするようにって、気象庁が警告してます」

何だって。

「寒い寒いと思ったら…。最強寒波か…」

「雪が降るかもしれないな」

「あぁ…」

こりゃ、明日は交通機関が大パニックだな。

まぁ仕方ない。人間は自然には勝てない生き物だ。

精々寒さ対策を万全にして、寒波に備えるとしよう。

すると、何を思ったか、ルレイアが俺の傍にすり寄ってきた。

「寒いですね、ルルシー…。こういう時は、ルルシーの人肌で俺を温めて…」

「離れろ」

「酷い!」

誰が温めるか。

暖房の温度、いくら上げても良いぞ。そっちの方が温かいだろ。

その妖艶な香りを、これ以上俺に近づけるんじゃない。

鼻が馬鹿になる。

しかしルレイアは、大袈裟な泣き真似をしてシュノにすがりついた。

「うぇーん!シュノさん、ルルシーが俺に近寄るなって言うんですよ!」

「…!ルレイア…」

あっ…またこいつ、シュノに泣きついて…。

ルレイアの泣き真似を本気にしたシュノは、きっ、とこちらを睨んだ。

あぁ…またこの流れ…。

「ルルシー!それは酷いと思うわ。恋人に向かって『近寄るな』なんて!」

あのな、シュノ。恋人じゃないから。

「そうだぞルルシー先輩。夫婦喧嘩は良くない」

「そうですよ。夫婦喧嘩はもっと平和にやるべきです。お互いにくすぐりっこしたりね」

ルリシヤとルーチェスまで、シュノに加勢した。

恋人でもないし、夫婦でもない。

…つーか、ルーチェス。お前んち、そんな夫婦喧嘩してんの?

それ、喧嘩じゃないだろ。ただ乳繰り合ってるだけじゃん。

…はぁ。もう頭痛い…。
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