The previous night of the world revolution~F.D.~
寒い寒いと思ってたら、こんなに雪が積もってるとは…。

帝都にこれほど雪が降るとは、珍しいな。

ひと冬にあるかないかだぞ。

通勤・通学中の社会人や学生は、きっと大わらわだろうな…。

…と、思いながら、温かい執務室の中から高みの見物をしていると。

「ひゃっほー!ルル公〜!すげーぞ!」

「やぁルルシー。外、凄いね」

アリューシャと、その保護者のアイズかやって来た。

今日も早速来やがった。早いぞ。

更に。

「まるでシェルドニア王国のような白さだな。ルレイア先輩の目に悪そうだ」

「本当。今日なんてあまりの寒さに、うちのセカイさんが一発芸のつもりか、『秘技、人間腹巻き!』って言って僕のお腹周りに抱きついてきたんですよ」

ルリシヤとルーチェスまで現れた。

何もない空間から。にゅっと生えるように。

しかも、聞いてもないのに盛大に惚気けてやがる。

「そうしたらムラムラしてきたんで、朝からファイト一発しようかなーと思ったんですけど…」

「おい、やめろ。何の話だよ」

アリューシャが聞いてるんだぞ。やめなさい。

「危うく遅刻しかねないので、それは今晩のお楽しみにして、今日も元気に出勤してきましたよ」

「…あっそ…」

どうでも良いから、そういうことは教えてくれなくて結構。

「見ろよアイ公!外、めっちゃ雪積もってる!」

「そうだねー、帝都にこんなに降るなんて珍しいね」

「ひゃっほぉぉぉい!雪まるだ作ってこよーっと!」

「雪だるまだよ、雪だるま。あと、寒いからあったかくして行くんだよ」

アリューシャはうっきうきで、外に雪だるまを作りに出ていった。

雪が降って喜ぶのは、犬とアリューシャとスキー場の人だけだよ。

つーか、雪だるまって…。あいつ、何歳になって雪だるまなんか作って…。

…と、思っていると。

「やっぱ無理ぃぃぃ!さみぃぃぃ!」

一分足らずで、半泣きのアリューシャが帰ってきた。

…馬鹿か?こいつは。

「…ルルシー先輩。そういう軽蔑の眼差しは良くないと思うぞ」

「軽蔑なんてしてねぇよ…。心底馬鹿だなと思ってるだけだ」

お前はもう、一生部屋の中で暮らしとけ。

冬中屋外に出るな。

すると、今度はそこに。

「おはようございまーす、皆さん。ルレイアですよー」

「あ、ルレイア…」

真っ黒なコートに身を包んだルレイアが、颯爽と現れた。

外は一面真っ白なのに、この男だけは相変わらず黒いな。

「うぅ、寒い寒い…」

カイロで両手をすりすりしながら、シュノもやって来た。

結局、全員揃ったな…。
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