The previous night of the world revolution~F.D.~
ふざけんな。何で勝手にこたつなんか持ち込んでるんだ。

そして、勝手にそのこたつを俺の部屋に設置するな。

等々、言いたいことは山のようにあったが。

「…ん?どうしたんですかルルシー。こたつ、一緒に入りましょうよ」

ルレイアは不思議そうに首を傾げ、俺を促すように、こたつ布団を少し持ち上げた。

ここに入れ、と。

「え、あ…う、うん…」

あまりにも自然に誘われたものだから、なんか言い返せなくて。

ルレイアに促されるまま、俺もこたつにイン。

…。

「どうです?ルルシー。温かいでしょう?」

「うん…。まぁ、そうだな…」

ぽかぽかじんわり暖かくて、非常に心地良い。

良いもんだな、こたつって…。ヒーターとか床下暖房とは、また違った快感があるよな。

何より、こたつに入ってにこにこしてるルレイアを見ていると、俺も悪い気はしな、

…って、何絆されてんだ、俺。

「…おい、ちょっと待て。ルリシヤ、お前何で勝手に俺の部屋に、」

「それにしても、こたつと言えば、やっぱりあれをやりたいですよね」

ぽん、と手を叩くルーチェス。

おい。ルーチェス、黙ってろ。今、俺が喋ってただろうが。

「あれ?」

「ほら、寒い日にこたつに入ったら…やることは決まってるでしょう?」

「あぁー、成程。あれね」

「そう、あれです」

おい。あれって何だよ。それ、今の俺の話より大事なことか?

「ルリシヤ。お前って奴はいい加減、警察に突き出してやっ、」

「さて、それじゃそうと決まれば、この中で一番の若輩である僕が、皆さんに『アレ』を振る舞いますよ!」

とか言って、ルーチェスはこたつから出て立ち上がった。

だから、さっきから、アレって何だよ。

俺は切実に、ルリシヤに罪を問わなきゃいけないんだ。邪魔をするな。

それなのに。

「さて、そんな訳ですからルルシーさん。ちょっと手伝ってください」

「は?」

何故か、ルーチェスにガシッと腕を掴まれた。

ちょ、何なんだ一体。

「折角ルリシヤ先輩がこたつを用意してくれたんだから、僕達もそれに応えなきゃいけないでしょう?」

「俺は、勝手に自分の部屋に見知らぬこたつを持ち込まれた被害者だけどな」

「ほらほら。子供じみた文句言ってないで」

誰が文句だと?

俺は正当な抗議をしているだけだ。
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