The previous night of the world revolution~F.D.~
しばらく後。

おでんと、ルーチェスお手製のアイスクリームが完成。

「出来上がりましたよー」

出来立てのおでんの鍋と、取り皿と箸を持って俺の執務室に戻ると。

「ここにコインがあるだろう?よーく見ておくんだぞ…。これに、ルリシヤマジックをかけると…ご覧の通りだ」

「うぉぉぉ!消えたぁぁぁ!」

ルリシヤが、こたつのテーブルの上で自慢のマジックを披露していた。

あいつ…自由やってんなぁ…。

「よーしよし、シュノさん。おねむですねー」

「んー…むにゃむにゃ…」

シュノはテーブルに突っ伏して、夢の中。

そんなシュノの頭を、ルレイアが優しく撫でてやっていた。

お陰で、シュノのあの緩みきった表情。

最高に幸せそう。

…シュノのあんな顔が見られるのは、ルレイアがいる時だけである。

ルレイアがカミーリア家に行ってる間、ずっと寂しい思いをしてきただろうから。

今ばかりは、思いっきりシュノを甘やかしてやってくれ。

それはそれとして、おでん持ってきたぞ。

「皆さーん。おでんですよー」

「おぉっ!待ってたぜ!」

「本当に作ってきてくれたんだね。ありがとう」

テーブルの上に、出来立てほかほかのおでんを置いた。

ルリシヤのマジックも良いが、折角作ってきたからおでんを食べてくれ。

「シュノさん、起きてください。おでんですよ」

「んー…?」

ルレイアが、シュノの肩をぽんぽんして起こした。

「はい、どうぞー」

「うぉぉぉ!すげー美味そう!」

蓋を開けると、湯気がもくもく。

うん。良い匂いだ。

この匂いを嗅ぐと、冬が来たって感じするなぁ。

「ほら、辛子つけたい奴はご自由に」

「アリューシャは要らねぇ!そのまま食う!」

知ってるよ。

「アイ公!頼んだ!」

アリューシャは、取り皿と箸をアイズに渡した。

…自分で取れよ。

「はいはい。アリューシャ、どれが欲しい?」

「んーとなー。卵!」

「はいはい。卵と?」

「んー…。卵!」

またかよ。

「卵は取ったよ。卵以外は何にする?」

「んー…。美味いやつ!」

「どれも美味しいよ。それじゃ…アリューシャの好きなお芋と、あ、ソーセージと…大根も取ってあげようねー」

「やったぜ!アイ公さんきゅ!」

アイズの奴…まーたアリューシャを甘やかして…。

おでんくらい、自分で取らせろよ。

「はい、アリューシャ。取ったよ」

「いったっきまーす!はふっ」

「あ。アリューシャ、熱いから、ふーふーして食べないと…」

「ふはっ!あちぃぃぃ!」

「あーあ…。はい、お水」

…この馬鹿。

「あちぃ!でもうめぇ!うめあちぃ!あちうめぇ!」

「良かったねー、アリューシャ」

…ったく騒々しい奴だよ。
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