The previous night of the world revolution~F.D.~
…犯人が誰なのか。何で殺されたのかの前に。
まずは、現場に残されたものを確認するべきだな。
「あっ…オルタンス殿…」
俺は、血にまみれた室内を平然と歩き出した。
部屋の中には、割れたワイングラスの破片が転がって、中に入っていたらしい赤ワインが、床に溢れていた。
恐らく、晩酌を楽しんでいた間に襲われたのだろうと思われる。
更に、もう一つ気になるものが部屋に落ちている。
俺は、それを摘み上げた。
「…ガラス瓶…だな」
「おい、勝手に証拠品に触るなよ」
アドルファスが止めたが、俺は気にせずにそれをじっと見つめた。
黒いガラス瓶の破片だ。
その破片から、覚えのある匂いが漂っていた。
むせ返るような血の匂いで掻き消されているが、確かにその中に残っている。
忘れたくても、一度嗅いだら決して忘れないその香り。
そして、特徴的な黒いガラス瓶。
「これ、『Black Dark Perfume』の香水だな」
「ブラック…ダーク…何だって?」
「知らないのか?ルレイアの作った香水ブランドの名前だ」
「…!道理で…嗅いだことのある匂いがすると思ったら…」
そう。ルレイアが普段つけてる香水の匂いだ。
その香水の瓶が、ここに落ちてるってことは…どうやらアジーナ女史は、ルレイアブランドの香水を普段から常用していた…と考えるべきか。
…それとも、犯人が誤ってここに落とし、そのまま置いていったと考えるべきか。
更に、割れた香水瓶以外にも、もう一つ床に落っこちているものがある。
俺は、今度はそれを手に取った。
「…電話…だな」
「おい。勝手に触るなって」
またしてもアドルファスが止めたが、俺は意に介さなかった。
血がべっとりとついた受話器だった。
その受話器の周りに、特に大量の血が飛び散っている。
「とどめを刺されたのは、ここだな」
「…そうかもな」
これはあくまで、現場の状況を見て誰でも思いつくであろう推測、だが。
殺されたアジーナ・ミシュル・サイネリアは、寝室で優雅に晩酌を楽しんでいた。
そこを何者かに襲われて、逃げ道を塞がれたアジーナ女史は、慌てて助けを呼ぼうと室内に備え付けられていた電話機に駆け寄った。
そして、受話器を取ったところで…そのまま殺された。
…といったところか。
まずは、現場に残されたものを確認するべきだな。
「あっ…オルタンス殿…」
俺は、血にまみれた室内を平然と歩き出した。
部屋の中には、割れたワイングラスの破片が転がって、中に入っていたらしい赤ワインが、床に溢れていた。
恐らく、晩酌を楽しんでいた間に襲われたのだろうと思われる。
更に、もう一つ気になるものが部屋に落ちている。
俺は、それを摘み上げた。
「…ガラス瓶…だな」
「おい、勝手に証拠品に触るなよ」
アドルファスが止めたが、俺は気にせずにそれをじっと見つめた。
黒いガラス瓶の破片だ。
その破片から、覚えのある匂いが漂っていた。
むせ返るような血の匂いで掻き消されているが、確かにその中に残っている。
忘れたくても、一度嗅いだら決して忘れないその香り。
そして、特徴的な黒いガラス瓶。
「これ、『Black Dark Perfume』の香水だな」
「ブラック…ダーク…何だって?」
「知らないのか?ルレイアの作った香水ブランドの名前だ」
「…!道理で…嗅いだことのある匂いがすると思ったら…」
そう。ルレイアが普段つけてる香水の匂いだ。
その香水の瓶が、ここに落ちてるってことは…どうやらアジーナ女史は、ルレイアブランドの香水を普段から常用していた…と考えるべきか。
…それとも、犯人が誤ってここに落とし、そのまま置いていったと考えるべきか。
更に、割れた香水瓶以外にも、もう一つ床に落っこちているものがある。
俺は、今度はそれを手に取った。
「…電話…だな」
「おい。勝手に触るなって」
またしてもアドルファスが止めたが、俺は意に介さなかった。
血がべっとりとついた受話器だった。
その受話器の周りに、特に大量の血が飛び散っている。
「とどめを刺されたのは、ここだな」
「…そうかもな」
これはあくまで、現場の状況を見て誰でも思いつくであろう推測、だが。
殺されたアジーナ・ミシュル・サイネリアは、寝室で優雅に晩酌を楽しんでいた。
そこを何者かに襲われて、逃げ道を塞がれたアジーナ女史は、慌てて助けを呼ぼうと室内に備え付けられていた電話機に駆け寄った。
そして、受話器を取ったところで…そのまま殺された。
…といったところか。