The previous night of the world revolution~F.D.~
第2章
…ジュリスさんと別れ、俺とルルシーは『青薔薇連合会』本部に帰った。

そして真っ先に、アシュトーリアさん含め、幹部仲間に事の次第を説明した。

勿論、『ローズ・ブルーダイヤ』の入ったジュエリーボックスも手元にある。

俺とルルシーの説明を聞いた、幹部組の反応はと言うと…。






「…面倒なことをしてくれたものだね」

「全くだわね」

アイズは溜め息混じりにそう言い、アシュトーリアさんも同意した。

「…そ、そうなのね…」

『ローズ・ブルーダイヤ』が何なのか知らなかったらしいシュノさんは、これがどれほど厄介なことが、いまいち理解していないようだが。

しかし、アイズもアシュトーリアさんも浮かない表情をしているのを見て、事の重大さを察しているらしい。

「…?…?ろーず、ぶるー、ダイヤ?美味いの?それ」

説明を受けてもなお、状況の理解が追いつかないらしいアリューシャ。

アリューシャは後で、アイズに紙芝居を作ってもらって説明してもらってください。

「ふむ…。世界に一つしかないダイヤか…。是非見てみたいものだな。ルーチェス後輩は、そのダイヤを見たことがあるのか?」

「ありませんね。話に聞いたことはありますし、写真で見たことならありますけど、さすがに実物は…」

ルリシヤとルーチェスが言った。

ふむ。ベルガモット王家の王子様であったルーチェスでさえ、『ローズ・ブルーダイヤ』の実物を見たことはない、と。

それもそうだろう。

カミーリア家は家宝の『ローズ・ブルーダイヤ』を、宝物庫に入れて厳重に、後生大事に守ってきた。

相手がベルガモット王族だろうと何だろうと、意地でも余所者には渡さないという強い意志を感じる。

「これ…本当に、中にダイヤが入ってるの…?」

恐る恐るといった表情で尋ねるシュノさん。

「…そうだと言われてますね。一応は」

誰も中身を見ていないから、確認のしようがありませんけど。

「『ブルーローズ・ユニオン』のメンバーが、これを盗み出して…?」

「えぇ」

「…それって、大変なことなの?」

…ふむ。ダイヤの価値が分からない故に、いまいち危機感が伝わってないようですね。

すると、アイズもそのことを察したらしく。

「あまりに価値が高過ぎて、現金に換算するのも難しいけど…敢えて言い換えるなら、現金にするとおよそ3000億に匹敵すると言われてるよ」

「さっ…さんぜんおくっ…!?」

これには、シュノさんもアリューシャも、目を丸くした。

まぁ、そのくらいはするでしょうね。

だいぶ安く見積もって、の話だけど。
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