The previous night of the world revolution~F.D.~
なんてことだ。

ルシファー…ルレイアに殺される、って…。

「本当に?そんな言葉を言い残して死んだのか?聞き間違いじゃなくて?」

「電話機に録音された音声が残っている。間違いはない」

あっそ。

「なら、間違えてるのは、そのアジーナとかいう女だ」

帝国騎士団は、その録音された音声とやらを証拠にしているようだが。

こっちは、ルレイアが無実だということを知っている。

「ルレイアは犯人じゃない。別の犯人がいる」

「別の犯人…?誰か、覚えがあるのか?」

「…ねぇよ、そんなの」

その女のことだって、今さっき聞かされたばかりなのに。

「でも、誰かに恨みを買ってたんだろ。殺されたってことはそういうことだ」

「なら、何故死の間際に『ルシファー・ルド・ウィスタリア』の名前を出すのだ?」

「知るかよ。自分に後ろめたいところがあるから…ルレイアに殺される動機があるってことを理解してるから、殺しに来た犯人がルレイアに見えたんだろ」

一応、ルレイアに…当時のルシファーに、悪いことをしてしまったとは思ってたんだろう。

ルレイアに、いつ復讐されてもおかしくないと思っていたからこそ。

お偉いお貴族様の癖に、帝都ではなくわざわざ田舎の別荘に引きこもり、びくびくしながら暮らしていたのだ。

自分が殺されるとしたら、ルレイア以外に有り得ない。
 
その思い込みと、殺されることに対する恐怖から、目の前にいる殺人犯がルレイアだと誤解したのだ。
 
そうとしか考えられない。

「お前らがルレイアを疑うのは勝手だがな。ルレイアにはアリバイがある。昨夜はずっと、幹部仲間と集まって一緒にいたんだ」

「そんなことが信じられるとでも?」

「じゃあ信じるなよ。知るか。俺に分かるのは真実だけだ」

昨日はずっと、ルレイアと一緒にいた。

ルレイアや、アイズやアリューシャやシュノや、ルリシヤやルーチェスと一緒にいた。

一緒に…その…おでん食べてた。

まさか、その間に殺人事件が起きてるなんて、知るよしもなかった。

「アイズ達とも一緒にいたぞ。あいつらに聞いてみろよ。口を揃えて同じことを言うはずだ」

「それは当たり前だろう。貴様らは仲間を庇う為なら、平気で嘘をつく連中だ」

馬鹿にするかのように、鼻で笑うアストラエア。

…さっきから、俺に喧嘩を売ってきてるな。

「例え本当の犯人が誰なのか知っていても、仲間内で隠し通そうとするだろう」

あぁ、そうかい。

「その通りだよ…俺達はお前らと違って、正義だの倫理観だのに縛られず、どんなことがあっても仲間を…家族を守る覚悟がある」

お前達なんかと、一緒にされてたまるものか。

お前らが何としてもルレイアを悪者に仕立て上げたいなら、勝手にすれば良い。

何があっても、俺はルレイアの味方だ。
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