The previous night of the world revolution~F.D.~
世の中、謝って許されることと許されないことってものがありますからね。

ごめんねテヘペロ、じゃ許されないんですよ。今回は。

と言うか、今回も、って感じですけど。

「アリューシャのケーキをネコババしやがって!ぜってー許さねぇ!」

例え話なのに、プリプリ怒っているアリューシャである。

「それと同じなんだよ、カミーリア家も。勝手に持ち出した時点で、謝っても許されないの」

「でもよ、でもよ!それアリューシャ達がやったことじゃないじゃん!『ブルーローズ・ユニオン』って連中の仕業なんだろ!?」

「じゃあ、アリューシャのケーキを持っていった泥棒さんが、同じことを言ったらどう思う?『違うんですよ、自分達がやったことじゃなくて』なんて言ったら…」

「んなの知ったことか!ケーキパクったことに変わりはないだろ!」

「カミーリア家の連中も、今のアリューシャと同じことを言うだろうね」

…でしょうねぇ。

『青薔薇連合会』の派閥の違いなんて、カミーリア家にとっては知ったことじゃないですよ。

キッチンの床にゴキブリが出てきて、「僕はチャバネゴキブリじゃないですよ!クロゴキブリです。一緒にしないでください!」って主張したとしても。

うるせぇゴキブリはゴキブリだ、って容赦なくGジェット吹かすでしょう?

そういうことです。

既にカミーリア家の宝物庫から盗み出されている時点で、返す返さないは問題じゃない。

こちらが下手に出て、謝りながら返したとしても許しはしないだろう。

大体、お貴族様相手に頭を下げるなんて、マフィアのプライドが許しませんよ。

全くとんでもないことをしてくれたものですよ。『ブルーローズ・ユニオン』の連中は。

「あるいは、これが目的だったのかと思えてくるな。『青薔薇連合会』に責任をなすりつけて、アシュトーリアさんのの評判を下げようと…」

と、ルルシー。

無きにしもあらず、といった感じですが。

「そこまでしますかね。そんなことしたら、アシュトーリアさんだけじゃなく、『ブルーローズ・ユニオン』の評判まで一緒に下がるじゃないですか」

ルーチェスが、ルルシーの意見に反対した。

うーん。まぁ、そうですね。

捨て身にも程があるでしょう。

『ブルーローズ・ユニオン』も『青薔薇連合会』も、世間的には同じマフィアの組織として、一括りに数えられている以上。

アシュトーリアさんの評判に傷がついたら、同じくセルテリシアの名前にも傷がついてしまう。

「あ、そうか…。じゃあ、そいつらは何でこんなことを…」

…さぁ。さっきアシュトーリアさんの言った通り、金目的での犯行だと考えるのが一番妥当ですけど…。

直接犯人に犯行動機を聞いた訳じゃありませんし、何とも言えませんね。

「…何はともあれ、訴えるところに訴えるしかありませんね」

「…訴えるところ?」

「決まってるじゃないですか。…部下の躾もろくに出来ない馬鹿な小娘に、責任取ってもらいに行くんですよ」

この後俺達がどう動くのか、あるいは動かないのかを決めるのは。

あの女に会って、責任を追求してからですね。
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