The previous night of the world revolution~F.D.~
「現場に落ちていた頭髪をDNA鑑定したら、ルレイア卿のものだと判明したんだって」

と、ブロテが説明した。

ふーん、成程。

俺、サイネリア家の別荘なんて、行ったこともなければ存在さえ知らなかったのに。

何で当主の部屋から、俺の髪の毛が採取されたんでしょうね?

不思議現象ですよ。

でも、それらはどれも、動かぬ証拠となる。

「それに、殺害現場となった部屋の扉からも、ルレイア卿の指紋が採取されたそうだよ」

行ったこともないのに、何で指紋なんか採取され(ry。

不思議現象再び。

「これらが確定的な証拠になったみたい」

「…あっそ…」

真犯人を見つける、どころじゃないですね。

完全に俺が犯人で確定じゃないですか。全く身に覚えないのに。

「馬鹿なっ…。そんな証拠、全部でっち上げだ…!」

と、悔しそうに呟くルルシー。

でっち上げでも何でも、証拠は証拠なんですよ。

「今、迂闊に移動するのは危険よ。帝国騎士団はもう、あなたの身柄を探し始めてる。見つかったら有罪は確定するわ」

「…そんな…!ルレイアが…」

それはまぁ、別に良いんですよ。俺は。

覚悟してたことなんで。

だけど、それより気になるのは。

「…で、あなたは何でここにいるんですか?」

と、俺はブロテを睨んだ。

「帝国自警団の団長様が、俺を捕まえて手柄を上げにきましたか」

「…!そのつもりなのか?」

ルルシーは、一瞬にしてブロテに敵意の眼差しを向けた。

…下手したら、この場で決闘が始まりかねませんね。

しかし。

「…いいえ、それは違う」

ブロテはきっぱりと首を横に振った。

「ルレイア卿、私は君を助けに来たんだ。…ある人に頼まれて」

…へぇ。

それは…俺も、ちょっと予想外でしたね。
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