The previous night of the world revolution8~F.D.~
第二部3章
ーーーーー…バスターミナルでルレイア卿を見つける、その数時間前。
突然、とある人物が帝国自警団本部に、堰を切ったように飛び込んできたのだ。
その人物というのは。
「ブロテ団長…ブロテ団長はいるか…!?」
「…!あなたは…」
真っ青な顔をした、帝国騎士団副団長。
ルシェ・エリザベート・ウィスタリアだった。
「一体何があったの?そんな血相を変えて…。とりあえず落ち着いて、部屋に案内するから…」
「駄目だ…。もう時間がないんだ。他に頼める者がいない」
そう言って、ルシェ卿は苦しそうな表情で、私の両肩を掴んだ。
我を失ったような彼女の姿に、私は酷く驚いたものだ。
私はこれまで、彼女を見る度。
いつも凛として、毅然で、見ようによっては冷血とも思われる女性だと感じていた。
そんな彼女が、これほど我を失うなんて。
きっと、ただ事ではないと思った。
「どうしたの…?一体何があったの?どうか落ち着いて…順序立てて話して」
私に出来ることなら何でも…と、までは言えないけれど。
可能なら、手を貸すことは厭わない。
助けを求めて頼ってきた人を、見捨てるなんて出来なかった。
「さぁ、落ち着いて。何があったのか話して」
「あ、あぁ…。…済まない。…昨日、サイネリア家の当主が殺された事件を知っているか?」
ようやく少し冷静さを取り戻して、ルシェ卿が話してくれたが。
それは私にとって青天の霹靂で、今度はこちらが狼狽える番だった。
「えっ…。そんな…ことがあったの?」
この時点で、まだ帝国自警団にはそのニュースは伝えられていなかった。
故に、私はこの時、何があったのか初めて聞かされたのだ。
サイネリア家って言ったら…確か、上級貴族の…。
「それは…大変な事件ね。貴族の当主が殺されるなんて…」
人の命に貴賤がないのは分かっている。
貴族の当主だろうと、庶民の子供だろうと、命の価値は同じ。
でも、貴族出身者が多数を占める帝国騎士団では、きっと私達よりも事態を重く受け止めているはずだ。
しかし、ルシェ卿が言いたいのはそういうことではなかった。
「…ルレイアが」
「え?」
「…ルレイアが…その殺人事件の容疑者にされてしまったんだ」
苦虫を噛み潰したような顔で、ルシェ卿はそう言った。
私は、思わずびっくりして二の句が継げなかった。
…嘘、でしょ?
突然、とある人物が帝国自警団本部に、堰を切ったように飛び込んできたのだ。
その人物というのは。
「ブロテ団長…ブロテ団長はいるか…!?」
「…!あなたは…」
真っ青な顔をした、帝国騎士団副団長。
ルシェ・エリザベート・ウィスタリアだった。
「一体何があったの?そんな血相を変えて…。とりあえず落ち着いて、部屋に案内するから…」
「駄目だ…。もう時間がないんだ。他に頼める者がいない」
そう言って、ルシェ卿は苦しそうな表情で、私の両肩を掴んだ。
我を失ったような彼女の姿に、私は酷く驚いたものだ。
私はこれまで、彼女を見る度。
いつも凛として、毅然で、見ようによっては冷血とも思われる女性だと感じていた。
そんな彼女が、これほど我を失うなんて。
きっと、ただ事ではないと思った。
「どうしたの…?一体何があったの?どうか落ち着いて…順序立てて話して」
私に出来ることなら何でも…と、までは言えないけれど。
可能なら、手を貸すことは厭わない。
助けを求めて頼ってきた人を、見捨てるなんて出来なかった。
「さぁ、落ち着いて。何があったのか話して」
「あ、あぁ…。…済まない。…昨日、サイネリア家の当主が殺された事件を知っているか?」
ようやく少し冷静さを取り戻して、ルシェ卿が話してくれたが。
それは私にとって青天の霹靂で、今度はこちらが狼狽える番だった。
「えっ…。そんな…ことがあったの?」
この時点で、まだ帝国自警団にはそのニュースは伝えられていなかった。
故に、私はこの時、何があったのか初めて聞かされたのだ。
サイネリア家って言ったら…確か、上級貴族の…。
「それは…大変な事件ね。貴族の当主が殺されるなんて…」
人の命に貴賤がないのは分かっている。
貴族の当主だろうと、庶民の子供だろうと、命の価値は同じ。
でも、貴族出身者が多数を占める帝国騎士団では、きっと私達よりも事態を重く受け止めているはずだ。
しかし、ルシェ卿が言いたいのはそういうことではなかった。
「…ルレイアが」
「え?」
「…ルレイアが…その殺人事件の容疑者にされてしまったんだ」
苦虫を噛み潰したような顔で、ルシェ卿はそう言った。
私は、思わずびっくりして二の句が継げなかった。
…嘘、でしょ?