The previous night of the world revolution~F.D.~
「今日のお弁当は何でしょうね?」

「さぁな…」

俺達がここに来てからというもの。

帝国自警団の方が、毎食俺達の為にお弁当屋さんでお弁当を買ってきてくれる。

お茶のペットボトルと一緒に。

で、毎食それを食べている訳だが…。

「うぉ…」

「うわー。ガッツリ系ですね」

弁当の蓋を開けると、器からはみ出さんばかりの大量の、真っ白なタルタルソースが。

その山盛りタルタルソースの下に、衣の分厚い鶏肉の天ぷらがみっちり。

これは、どう見てもアレだな。

ガッツリ系お弁当の代表格、チキン南蛮弁当である。

メインのおかずはチキン南蛮で、付け合わせにたっぷりのナポリタンと。

別の容器に、溢れんばかりのたっぷりの白米が。

いかにも、食べざかりの男子高校生が好きそうなお弁当である。

野菜…野菜は何処だ?

あっ…。白米の容器の隅っこに、ほんのちょっと、申し訳なさそうに野菜の漬物が入ってる…。

「凄いボリュームですね、これ」

「あぁ…。栄養バランスが崩壊してるな…」

野菜嫌いのアリューシャじゃあるまいに。

「ちなみにルルシー、今日のお昼のお弁当、何だったか覚えてます?」

「…あぁ。覚えてるよ…」

「ミックスフライ弁当でしたよね」

「あぁ…。そうだったな…」

ミックスフライ弁当って知ってる?あれもガッツリ系お弁当の代表格だよな。

白身魚のフライ、エビフライ、メンチカツ、クリームコロッケの豪華盛りに。 

たっぷりのデミグラスソースを添えた、超高カロリー弁当だった。

…ちなみにだけど、昨日の夜は、1個が大人の拳骨くらいの大きさの唐揚げが、5つも入った唐揚げ弁当で。

昨日の昼は、目玉焼きと、こってりチーズソースが大量にかかった、ハンバーグ弁当。

…朝飯は、某ハンバーガーチェーン店のハンバーガーと、Lサイズのコーラだったし。

帝国自警団に来てからというもの、こうして毎食食事を用意してもらえるのは、とても有り難いんだけど。

「…この組織の人達は、俺達を生活習慣病にするつもりなんですかね?」

「…さぁ…」

わざとなのか、それともわざとじゃないのか。

出される食事がどれもガッツリ系過ぎて、一周回って悪意を感じる。

…何だろう。長いこと野菜を食べないと、身体が野菜を求めてる気がする。

今だけは俺、草食動物になりたい。

生野菜のサラダに、ドレッシングとか何もかけずに食べたい。

揚げ物の匂いは、嗅ぐだけでも気持ち悪くなってくる。

白米だって、これ、明らかに大盛りだもんな。

どんぶり3杯くらいあるんじゃねーの?

食べ切れねーよ。いくらなんでも。

「きっと、これでも好意で用意してくれてるんだと思うから…。全然食べないのは失礼だよな…」

「俺はもう欲しくないですね。部屋に閉じ込められてて運動もしてないのに、こんなに高カロリーな食事は喉を通りませんよ」

「…本当にな…」

正直、俺も全然食欲ない。

なんつーかさ、コンビニ弁当とかお弁当屋さんのお弁当って、たまに食べるから美味しいんであって。

毎日食べてると飽きる気がするの、俺だけ?

味が濃いからだろうか。

安っぽい油の味に、ただでさえ乏しい食欲が失せていく。

それでも、まるっきり食べずに残すのは悪いと思って。
 
漬物と白米をちょっと食べたけど、ルレイアは本当に食欲ないみたいで、お茶だけ飲んで、お弁当はパスしていた。

…うーん。
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