The previous night of the world revolution~F.D.~
翌朝。

朝一番に、ブロテの従姉妹が俺達の為に朝食を持ってきてくれた。

ブロテが隣国アシスファルト帝国に留学中の間、帝国自警団の団長代理を務めていたマリアーネという女性である。

で、その女性が持ってきてくれた朝食というのが。

「…デカいな…」

「はみ出してますね、パンから。色々と」

…あぁ。

今朝のメニューはハンバーガーである。

しかし、この間の某チェーン店のものではなくて、今日はまた違うお店のハンバーガーのようだ。

一応毎日メニューは違うので、俺達が飽きないよう、自警団なりに気を遣ってくれてるんだろうが。

…どうせならもうちょっと、カロリーと栄養バランスにも気を遣って欲しかったな。

極厚の二枚のバンズの中に、巨大なトンカツと、溢れんばかりのソースとマヨネーズ、そして分厚いチーズが挟んである。

超ボリューミーなカツサンドだ。

カツもチーズも特大なのに、レタスはペラペラのが一枚だけ。申し訳なさそうに挟まれていた。

完全に、栄養ではなく彩りの為だけに挟まれてるって感じだな…。

おまけに、これでもかというほど大量のポテトフライとオニオンリングが、付け合わせとしてついていた。

飲み物はLサイズのジンジャーエール。

…朝からこの量。そしてカロリー。…マジ?

「見てるだけで胸焼け起こしそうですね」

「…あぁ…」

「昨日、夕食食べてないからお腹空いてるはずなのに…。匂いだけでもう気持ち悪くなってきました」

…ごめん。同感。

「…どうする?せめて半分こして食べるか?」

「いや…済みませんけど、食欲ないですね」

と言って、ルレイアは困ったように、ポテトフライをひとくち摘んだ。

そして顔をしかめた。

「うぇ…。油っぽい…。そして塩辛い…」

「…そうか…」

俺もオニオンリングを軽く食べてみたが、ルレイアの言う通り、じゅわっとした古い油の味がして。

正直、ひとくちでお腹いっぱい。

…やっぱり、これは一言言った方が良いかもしれない。

匿ってもらっている身分で、食事に文句をつけるのは良くないと分かっているが…。

…その為に、昨日、本を用意してもらったんだし…。

…よし。
 
「ルレイア、俺ちょっと…ブロテに会ってくるよ」

「それなら、俺も一緒に行きますよ」

えっ?

「いや、お前まで来なくても…。俺が一人で、」

「もう、ルルシーったら。俺が一人でどっか行こうとしたら目の色変えて怒る癖に、自分は単独行動ですか?」

「…ごめん。俺が悪かった」

言い返す言葉もない。

分かったよ。じゃあついてきてくれ。
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