The previous night of the world revolution~F.D.~
「お、お前…図ったな…!?」

ルルシーげきおこ。

「頭脳戦略と言ってください」

大体、あんな思わせぶりに本を隠すルルシーが悪いんですよ。

あんなことされたら、意地でも見たくなっちゃうじゃないですか。

ルルシーの特殊性癖を。

「さーて、ルルシーはどんなジャンルに興奮して…」

ルルシーから引ったくった本のタイトルを、改めて確認する。

すると、それはえっっな本ではなく。

『ルティス帝国法律全書』という本だった。

タイトルの通り、ルティス帝国のあらゆる憲法、法律を記した本である。

道理で、見覚えがあると思った。

学生の時、死ぬほど読まされた本だからである。

うわー、懐かしい…。ルティス帝国のあらゆる欺瞞が書かれた本ですよ、これは。

まさか、またこの本を手にする日が来るとは…。
 
しかし、ルルシーが何でこんなものを…。

「…」

「…いや…その、あのな、ルレイア…これは…」

ルルシー、もごもご。

「…ルルシーって…」

「…何?」

「法律フェチだったんですか…?」

「…何でそういう発想になるんだよ」

いや、だってこっそりこんな本を読んでるから…。

「大丈夫ですよ。俺、ルルシーのどんな趣味も性癖も受け入れますから」

「それはありがとうな。でも、違うから。誤解をするな」

「ルルシーは法律の何処に萌えを感じてるんですか?」

「感じてねーよ、馬鹿。勉強してただけだ」

…勉強?

そういえば、さっきルルシー…鉛筆をカリカリしてましたね。

テーブルの上に広げっぱなしにしていたノートを見下ろす。

そのノートには、法律全書の内容をルルシーなりにまとめてあった。

…ふむ…成程。

じー、っとノートを見つめ。

「…あの、ルレイア。そんなガン見しなくて良いから」

「…ルルシー、このページに書いてある民法、間違ってますよ。占有権について書いてあるのは第三章じゃなくて、第二章です」

「え、マジで?…あ、本当だ…」

昔めっちゃ勉強させられたんでね。覚えたくなくても覚えてるんです。

「…それにしてもルルシー、何でこんなもの勉強してるんですか?」

楽しくないでしょう。こんなの。

ダラダラと長ったらしい文章ばっかりで、読んでてうんざりすること必至。

しかも、こんな細かい字を暗い明かりの下で読んでたら、目が悪くなっちゃいますよ。

「それは…。…その…」

「弁護士でも目指してるんですか?」

「…目指してねーよ。俺は『青薔薇連合会』の幹部が天職だからな」

同感。

「それにこれ、俺に隠す必要、あります?」

別に隠さなくても、堂々と勉強したら良いじゃないですか。

何も言いませんよ?俺。

「それは…だから…」

「…?」

「…あー、もう…。言ったらからかわれると思ったから、わざと隠してたのに…」

え?からかう?

別に俺、ルルシーのやることをからかったりしませんけど。
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