The previous night of the world revolution~F.D.~
じー、っとルルシーを見つめていると。

ルルシーは、観念したように話し始めた。

「あのな…。こんな事態になるまで俺、ルティス帝国の法律のこととか制度のこととか、何にも知らないなと思って…」

「…」

「今後、何が起こるか分からないし…。事態がどう変わっても慌てずに済むように…。法律のこと勉強しておこうと思って…」

「…」

「それで、ブロテに法律の本を頼んで…。ルレイアが寝た後に勉強しようと…」

…ルルシー、それって、もしかして。

「俺の為…ってことですか?」

昼間の料理本しかり、この法律全書しかり。

ルルシーは…俺の為に…。

「…まぁ、回り回ってルレイアの為ではあるかもな…」

ルルシーは恥ずかしがり屋さんだから、そう言って言葉を濁したけど。

それって結局、やっぱり、俺の為ってことですよね?

ルルシーが…夜なべして…俺の為に…。

実の母親だって…俺の為に夜なべしてくれたことなんてないのに…。

「ルルシー…あなたって人は…」

「…目をキラキラさせるな。別にお前の為じゃな、」

「しゅきーっ!」

「ちょ、ひっつくな!夜中だぞ、デカい声を出すんじゃない!」

だって、こんなの抱きつかない訳にはいかないじゃないですか。

ルルシーが。俺の為に。頑張ってくれてるんですよ?

俺も、その思いに応えない訳にはいきませんね。

「『ルティス帝国法律全書』なら、昔勉強したことがあるので、ルルシーに教えられますよ」

「え、良いのか?」

「勿論ですよ」

正直、こんなもの二度と思い出したくないと思ってましたけど…。

ルルシーの為なら、全力で思い出します。

「だから、ちゃんと明るいところで勉強しましょうよ。それから、会議室のホワイトボードとか貸してもらって」

「本格的だな…。…でも、一人で勉強するの、正直行き詰まってし…。ルレイアに教えてもらえるなら助かるよ」

でしょう?でしょう?そうでしょう?

俺にバッチリ任せてくださいよ。

「密室で個人レッスン…。何だかえっちな響きですね…?」

「よし。ブロテとか別の奴を誘おう」

「ちょっとルルシぃぃぃっ!」

折角個人レッスンだと思ったのに。そりゃないですよ。

「良いか、俺は真剣に勉強しようとしてるんだよ。真剣に」

「わ、分かりましたよぅ…。そんな怖い顔で言わないでください」

大丈夫ですって。ルルシーが真剣なら、俺も真剣に頑張ります。

「でも、授業は明日からにしましょうよ。夜勉強するのは効率悪いですよ」

「そうだな…。もう遅いし…。…寝るか」

もう、こっそり起きて暗い明かりの下で勉強しなくて良いんですよ。

ちゃんと明るいところで、俺の目の前で堂々と勉強してください。

俺も協力しますから。

「じゃあ、改めてお休みなさい」

「あぁ、お休み」

ルルシーのお陰で、また良い夢が見られそうですよ。
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