The previous night of the world revolution~F.D.~
ーーーーー…その日はルルシー卿に誘われて、ほぼまる一日、ルティス帝国の法律の勉強をした。

ルルシー卿に誘われた時は、特に考えることなく、ちょっと興味があったから参加しただけだった。

マリアーネとセルニアに至っては、ルルシー卿に誘われた私の傍にいたというだけである。

ほぼノリで参加させられた法律教室だったが…。

「ふぅ…。勉強は難しかったけど、凄く有意義だったね」

ようやく勉強会が終わって、ルレイア講師から解放され。

私は、一緒に勉強したマリアーネとセルニアに言った。

「う、うん…。私、ムチで殴られかけたけど…」

「僕も…」

…うん。私も。

マリアーネもセルニアも、ぐったりした表情だった。

多分、私も同じような顔になってるんだろうな…。

「でも…さすが元帝国騎士団の隊長だね。私でも知らないようなことでも、たくさん知ってたし…」

帝国自警団の団長として、恥ずかしくなったくらいだよ。

私もそれなりに勉強したつもりでいたけど、まだまだルレイア卿には届かなかったらしい。

教え方がもう少し優しかったら…。もっと勉強させてもらいたい。

私やマリアーネが間違えたら、容赦なくムチを振り回してたけど。

ルルシー卿に対してだけは、質問を間違えると「バツとしてちゅーしまーす」と言って追いかけ回したり。

正解したとしても「ご褒美としてちゅーします!」と言って追いかけ回し。

その度にルルシー卿に叱られていた。

本当に仲良しで、羨ましいね。

「今日は法律の勉強だったけど、今度は別の分野を教えて欲しいな。ルレイア卿だったら、法律以外でもたくさん知ってることが…」

と、私が言いかけたその時。

「…!…今、何と言いましたか?」

「えっ?」

歩きながら喋っていたところを、聞かれていたらしい。

驚いて振り向くと、そこには帝国自警団の仲間の一人が、厳しい(いかめしい)顔付きで立っていた。

あ、えぇと…彼女は見覚えがある。

「あ、ごめん、ボーッとしてて。君、確か…」

と言おうとしたけれど、彼女は再度、鋭い口調で尋ねた。

「今、何と言いましたか」

…え、えぇと。

「えっ…?あの、な、何を…」

「ルレイア卿が、と言ってませんでしたか?」

「…あ、うん。ちょっと…」

そうだった。

まだ自警団の仲間達には、ルレイア卿の保護のことは話してないんだった。

折を見て話そうと思ってたけど…。

「どういうことですか?何故あの男の名前が出てくるんです」

「そ、それは…」

…ちょっと、話すと長くなっちゃうんだけど。

…でも、もう頃合いかな。

「そうだね…。折を見て話そうと思ってたんだ。他の皆にも話すね」

この時、私は理解してもらえると思っていた。

私が私の正義に従って、ルレイア卿を保護したことを。

賛成こそされなくても、反対されることはないと高を括っていた。

その判断が甘かったと知るのは、もう少し後の話である。
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