The previous night of the world revolution~F.D.~
ーーーーー…それは、偶然のきっかけだった。

ブロテ団長と、その親友であるマリアーネ、そしてセルニアという自警団の幹部二人が。

自警団本部にある、小さな会議室から出てきたのを見つけた。

「…?」

その時点で、私は不審に思った。

今日は、あの会議室を使う者は誰もいなかったはずだ。

もしかして、何か緊急の用件を話し合ったのだろうか?

…よもや、あの男のことで?

もしそうだとしたら、じっとしてはいられなかった。

私は、こっそりブロテ団長達の後をつけることにした。

声が聞こえるギリギリの位置から、ブロテ団長達の会話を盗み聞きした。

もし誰かに見咎められたら、偶然を装うことが出来るように。

会議室から出てきた団長達は、疲れたような様子ではあったが。

しかし、何処か達成感を感じさせるような…楽しそうな、そして満足げな表情だった。

…緊急の用件を話し合ったにしては、随分和やかな雰囲気である。

ますます不審に思った時、聞こえてきたのだ。

ブロテ団長が、あの男の名前を口走った。

「ルレイア卿が」というその言葉に、私の心臓は跳ね上がった。

…どうして、今あの男の名前が出てくるのか。

こうしてはいられなかった。立ち聞きだけでは到底納得出来なかった。

堪らず、私はブロテ団長の前に姿を現した。

あの男に関することなら、何だって知りたかった。

突然現れた私に、ブロテ団長は酷く驚き、狼狽え、言葉を詰まらせていたが。

結局覚悟を決めたようで、その後すぐに、自警団の団員達を全員集め。

事情を、全て説明してくれた。

つまり、殺人犯の容疑がかけられたルレイア・ティシェリーを、帝国自警団で保護していることを。

それを聞いた私は、はらわたが煮え繰り替える思いだった。

そしてそれは、私の理解者達も同じであった。
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