The previous night of the world revolution~F.D.~
…こうなってしまったら、私達は非常に不利だ。

帝国自警団があの男の安全を保証している限り、誰も、あの男に手出しは出来ない。

そして今頃『青薔薇連合会』は、あの男の無実を証明する為に奔走しているところだろう。

…いつ、私達の犯行が明るみに出るか分からない。

時間を稼がせてはならないのだ。時間が経てば経つほど、私達は不利になってしまう。

どうにかしなければ。

まだ、あの男が殺人の容疑者であるうちに。

「…どうしたら良いと思う?」

ここは冷静になって、次の出方を考えよう。

頭に血を登らせても、良いことは何もない。

不可能に近いが、強引でも、ブロテ団長を説得するか?

…それとも…。

「…一つ、思いついたことがある」

私の理解者の一人が、そう言った。

「何?」

「帝国自警団の団員達は、皆ブロテ団長の味方だ。彼女があの男を保護すると決めたなら、反対する者はいないだろう」

私達以外は、だけど。

「だったら、もっと…他の人に聞いてみれば良い。帝国自警団が殺人犯を保護してるなんて知ったら、どう思うか」

「…どういうこと?」

「ブロテ団長が考えを変えないって言うなら、変えざるを得ないように仕向けてやれば良い、ってことだよ」

彼は、意味有りげにそう笑った。

その方法は、私達にとっても危険極まりなかった。

だが、それが何だと言うのだろう。

あの男を陥れる為に、私達は既に数々の犯罪を犯しているのだ。

今更、恐れることなどあろうはずがなかった。
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