The previous night of the world revolution~F.D.~
これまで、混乱を防ぐという名目で、帝国騎士団はサイネリア家当主殺害事件の報道を規制していた。
その実態は、オルタンスが無実だと確信しているルレイアを逮捕したくなかったから、なのだが。
しかし、それらの努力は、こうして水泡に帰した。
何者かが、こうして各社の新聞社にタレコミをしたからだ。
「新聞には、『帝国自警団の関係者からの情報提供』と書いてあるけど…」
「関係者じゃなくて、多分帝国自警団の団員でしょうね」
と、ルーチェスが言った。
…私も同意見だよ。
関係者…というのは建前で、このタレコミをしたのは、間違いなく自警団の団員だ。
「そ、それってどういうこと…?帝国自警団が…どうしてルレイアのことを密告するの…?」
と、シュノが尋ねた。
「そもそも、ルレイアが今帝国自警団にいることは、ここにいる私達と、帝国騎士団の隊長達と、あとは帝国自警団のメンバーしか知らないんだよ」
だから、密告出来るとしたらこれらの数名しかいない。
まず、私達が密告することは有り得ない。私達はルレイアとルルシーの味方だからね。
故に、必然的に、密告犯は帝国騎士団の隊長達の誰かか。
あるいは、自警団サイドの誰か、ということになる。
「じゃあ、帝国騎士団の隊長が密告したんじゃ…」
「…勿論、その可能性もある」
オルタンスとルシェ、それから三番隊隊長のアストラエア辺りは、ルレイアを無実だと確信していた。
が、他の隊長達は、ルレイアのことを疑っているようだった。
だから、彼らが新聞社に密告し、世間にルレイアのことをバラした可能性はある。
でも…。
「だが、この記事の書き方じゃ…。密告したのは帝国騎士ではないだろうな」
と、ルリシヤが言った。
…うん、私もそう思うよ。
「どういうこと…?記事の書き方、って…?」
「よくよく読んでみてくれ、シュノ先輩。新聞社によって多少の違いがあれど、批判の的になっているのは帝国自警団だろう?」
「…」
ルリシヤに言われ、シュノは慌てて、改めて新聞を読み始めた。
そう。これらの新聞記事は、「国民達に事実を隠していた帝国騎士団」を責める内容ではなかった。
あくまで、「殺人犯を保護している帝国自警団」を責める内容ばかりなのだ。
「それに、ほら…。例えば、この記事」
と言って、ルーチェスがとある新聞記事を指差した。
「帝国自警団の団長が、容疑者であるルレイア師匠を客人待遇でもてなしてるようだ、って書いてあるでしょう?」
「…!本当だわ」
「こんな情報を知ることが出来るのは、帝国自警団の内部にいる人間だけです」
その通り。
ルレイアが帝国自警団でどう過ごしているのかなんて、私達でさえ知らない。
ましてや、帝国騎士団の隊長達が知る由もない。
それを知っているのは、自警団の内側にいる人間だけだ。
「じゃあ…この情報をタレコミしたのは、帝国自警団の団員ってこと…?」
「十中八九、そうだろうね」
そう考えて間違いないと思うよ。
で、問題は…。
「…何の為に、ですか?」
と、ルヴィアが尋ねた。
その実態は、オルタンスが無実だと確信しているルレイアを逮捕したくなかったから、なのだが。
しかし、それらの努力は、こうして水泡に帰した。
何者かが、こうして各社の新聞社にタレコミをしたからだ。
「新聞には、『帝国自警団の関係者からの情報提供』と書いてあるけど…」
「関係者じゃなくて、多分帝国自警団の団員でしょうね」
と、ルーチェスが言った。
…私も同意見だよ。
関係者…というのは建前で、このタレコミをしたのは、間違いなく自警団の団員だ。
「そ、それってどういうこと…?帝国自警団が…どうしてルレイアのことを密告するの…?」
と、シュノが尋ねた。
「そもそも、ルレイアが今帝国自警団にいることは、ここにいる私達と、帝国騎士団の隊長達と、あとは帝国自警団のメンバーしか知らないんだよ」
だから、密告出来るとしたらこれらの数名しかいない。
まず、私達が密告することは有り得ない。私達はルレイアとルルシーの味方だからね。
故に、必然的に、密告犯は帝国騎士団の隊長達の誰かか。
あるいは、自警団サイドの誰か、ということになる。
「じゃあ、帝国騎士団の隊長が密告したんじゃ…」
「…勿論、その可能性もある」
オルタンスとルシェ、それから三番隊隊長のアストラエア辺りは、ルレイアを無実だと確信していた。
が、他の隊長達は、ルレイアのことを疑っているようだった。
だから、彼らが新聞社に密告し、世間にルレイアのことをバラした可能性はある。
でも…。
「だが、この記事の書き方じゃ…。密告したのは帝国騎士ではないだろうな」
と、ルリシヤが言った。
…うん、私もそう思うよ。
「どういうこと…?記事の書き方、って…?」
「よくよく読んでみてくれ、シュノ先輩。新聞社によって多少の違いがあれど、批判の的になっているのは帝国自警団だろう?」
「…」
ルリシヤに言われ、シュノは慌てて、改めて新聞を読み始めた。
そう。これらの新聞記事は、「国民達に事実を隠していた帝国騎士団」を責める内容ではなかった。
あくまで、「殺人犯を保護している帝国自警団」を責める内容ばかりなのだ。
「それに、ほら…。例えば、この記事」
と言って、ルーチェスがとある新聞記事を指差した。
「帝国自警団の団長が、容疑者であるルレイア師匠を客人待遇でもてなしてるようだ、って書いてあるでしょう?」
「…!本当だわ」
「こんな情報を知ることが出来るのは、帝国自警団の内部にいる人間だけです」
その通り。
ルレイアが帝国自警団でどう過ごしているのかなんて、私達でさえ知らない。
ましてや、帝国騎士団の隊長達が知る由もない。
それを知っているのは、自警団の内側にいる人間だけだ。
「じゃあ…この情報をタレコミしたのは、帝国自警団の団員ってこと…?」
「十中八九、そうだろうね」
そう考えて間違いないと思うよ。
で、問題は…。
「…何の為に、ですか?」
と、ルヴィアが尋ねた。