The previous night of the world revolution~F.D.~
果たして、厄介なことになりましたね。

帝国自警団そのものを人質に取られたら、さすがのブロテも、これ以上俺を庇うことは出来ない。

「…どうやら、俺もルルシーも、早々にここを出ていった方が良さそうですね」

「…済まない。本当に…許して欲しいとは言えない。でも、どうか…」

「もう良いですよ」

謝り合戦されても面倒臭いから、もう何も言わないでください。

その代わり、俺もここまで庇ってもらったことに対する感謝の言葉は言いませんから。

まぁ、心の中だけで感謝してますよ。

「ブロテの浅慮を責める暇があったら、さっさと逃亡の計画を立てた方が良さそうですね」

「逃亡って…どうするつもりなんだ?ルレイア…」

「帝国自警団の庇護がなくなったら、俺はこの国で殺人事件の容疑者ですからね。一歩たりとも日の下は歩けません」

まぁ、マフィアの幹部やってる時点で、元々日の下は歩けませんけど。

そういう意味じゃなくて、この建物を一歩でも出て、コンビニに行くだけでも危険。

運悪くポリスメンや、帝国騎士に見つかったら、敢え無くお縄。

さすがにそれは遠慮したいですねぇ。

「もうこの国にはいられません。当初の予定通り、海外に逃げるしかないでしょう」

やれやれ。こんなことになるなら、最初から帝国自警団の誘いなんか断って、優雅に海外旅行に行けば良かった。

そうすれば今頃、ルルシーと優雅に海外リゾートで観光してただろうに。

「海外か…。まぁ、そうするしかないよな…」

「問題は、厳しく監視されている今の状況で、どうやって国境を超えるか、ですね」

帝国自警団の保護がなくなれば、国内に逃げ場をなくした俺達は、海外に逃げるしかない。

そしてそのことは、帝国騎士団だって容易に想像がつくはずだ。

今頃、ますます国境沿いの警備を強固にしている頃だろう。

ルリシヤの偽装パスポートはありますけど、果たしてこの状況で、通用しますかね。

すると。

「安心して。海外に逃げるなら、その手配は私がする」

と、ブロテが申し出た。

「お前…正気か?またこんなことがバレたら、お前、ますます立場が…」

「帝国自警団さえ守れるなら、私自身はどうなっても構わない。これは私が独断で、勝手に決めたこと。だから自警団は関係ない」

ブロテはきっぱりと、そう言い切った。

やれやれ。そうと決めたらテコでも動かない。頑固な豚女ですよ。

でも、有り難いです。

「分かりました。じゃあ、国外逃亡の手配はあなたにお願いします」

実際、どうしようかと困ってたところですからね。

ブロテからの最後の親切として、海外に出るまでの手配はお願いしますよ。

「うん、任せて。必ず安全に、責任を持って、君達を国外に出してあげるから」

頼もしいんだが、信じて良いんだか分かりませんが。

今は、使えるものなら猫の手でも、ブロテのコネでも、何でも使いたいですからね。

任せるとしましょう。
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