The previous night of the world revolution~F.D.~
…話し合いを終え、ひとまず、俺とルルシーは部屋に戻った。
 
やれやれ。ようやくこの避難生活にも慣れてきたところだったのに。

またすぐにお別れですね。忙しない。

「ふぅ、やれやれ…。ちょっと休みましょうかね」

朝から色んなことがあって、俺は疲れましたよ。

今ばかりは、ルルシーの素敵な子守唄がなくても眠れそうです。

いつも子守唄、ないですけどね。

「ルレイア…大丈夫か?」

「はい?」

早速ベッドに横たわった俺に、ルルシーが心配そうにそう尋ねてきた。

…おっと。

またしても、ルルシーの心配性が発動しましたかね?

「何がですか?俺は大丈夫ですよ」

「だって…こんなことになって…海外逃亡なんて…」

「最初は海外に逃げるつもりだったんだし、当初の予定に戻っただけじゃないですか」

「それは…そうだけど…」

「それに、ルルシーが一緒ですからね」

一人だったら、ちょっぴり不安にもなったかもしれませんけど。

「ルルシーが一緒にいてくれますから、俺に怖いことなんて一つもありませんよ」

むしろ、ルルシーと海外旅行だと思えば、楽しみじゃないですか。
 
お土産買って帰ろーっと。

「そうか…。…お前はしっかりしてるな」

「ルルシーがいてくれるからですよ」

「駄目だな、俺…。頭に血を登らせて…ブロテを責めるばっかりで…」

まぁ、ブロテが浅はかだったのは確かですけどね。

あいつは責められて当然だと思いますよ。

「一番辛い思いしてるのはルレイアなのに…。俺は、ルレイアを支えなきゃいけないはずなのに…むしろ、ルレイアを不安にさせるようなことばっかり…」

「…そんなこと言わないでくださいよ」

俺はベッドから起き上がって、ルルシーの手を取った。

ルルシーったら、随分自罰的になってるようですね。

別にルルシーは何も悪くないのに。

「あなたが傍にいてくれるだけで、俺は充分助かってますよ。こんなに余裕で居られるのも、ルルシーがいてくれるからこそです」

「だけど…ルレイア…」

だけど、じゃありませんよ。

「あなたがいてくれる限り、俺は大丈夫です。何処に行ったとしても、何をしていたとしても」

だから、不安に思う必要はない。

俺の隣にはルルシーがいる。それだけで、例え地獄の底だとしても、俺にとっては天国だ。

「海外逃亡、どんと来いですよ。アシスファルト帝国でも箱庭帝国でも、はたまた絶海の孤島でも…。…一緒に来てくれますか、ルルシー」

「当たり前だ。何があっても、絶対、お前を一人にはしないよ」

ルルシーは、ぎゅっと俺の手を握り返してくれた。

…ありがとうございます。

…ところで。

「…今の言葉、惚れたんで、もう一回言ってもらって良いですか?」

「さっさと寝ろ」

「ルルシぃぃぃ…」

録音して、着メロ代わりに使おうと思ったのに。

良いもん。俺の脳内で録音したから。

いつでも脳内再生余裕ですよ。万歳。
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