The previous night of the world revolution~F.D.~
翌日。

起きて、朝食を食べたばかりの俺達のもとに。

ブロテが、暗い、そして焦ったような顔でやって来た。

「おはよう、ルレイア卿。ルルシー卿も」

「あぁ、ブロテ…。おはようございます」

と言っても、あなたの目の下に出来たどす黒いクマを見たところ。

ブロテは昨日、一睡もしていないようだけど。

「で、どうかしました?」

俺達を追い出す準備でも出来ました?

こっちは準備万端ですよ。早起きして、荷造りを済ませておいたので。

いつでも出発出来ます。

「夜中中、あちこちツテを当たって、君達を海外に送り届ける方法を考えたんだけど…」

「やっぱり無理でした、って?」

「…まず、アシスファルト帝国に向かうルートは無理だった。あまりに帝国騎士団の守りが固くて…」

まぁそうでしょうね。

ルティス帝国から国外に逃げるとしたら、まず真っ先に思いつくのがアシスファルト帝国だ。

帝国騎士団だって、そんなことは百も承知。

アシスファルト帝国に向かうルートは、徹底的にマークされていると思って良いだろう。

そして、同時に…。

「それじゃ、箱庭帝国ルートも無理そうですね」

「…うん、残念だけど…」

アシスファルト帝国と同じく、ルティス帝国と隣り合う箱庭帝国も。

厳重な警備によって、守られていることだろう。

箱庭帝国のルアリスとは大の仲良しだから、箱庭帝国領に入りさえすれば、そこから先はルアリスが守ってくれると思いますけど。

問題は、箱庭帝国に入るまでだ。

それまでに絶対、帝国騎士団の強固な監視に見つけられてしまうだろう。

やれやれ。人気者は困りますね。

それじゃ、他に俺達が行ける場所は…。

「じゃあ、国外逃亡は取り止めですか」

「ううん。ルティス帝国を出るまでは、責任を持つって言った。その言葉は違えない」

「…それなら、どうします?」

「今すぐに支度をして。シェルドニア王国に行く船があるの。その船に密航させてもらうよう、手配してあるから」

…まさかの、シェルドニア王国。

…そう来ましたか。はぁ。
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