The previous night of the world revolution~F.D.~
運転手相手に、楽しくお喋りをしているうちに。

タクシーは、やがて王都、そして王宮の近くまで到着した。

相変わらず、何もかも真っ白で腹立たしい。

「この辺で降ろしてもらえますか」

「はいはい」

タクシーの運転手に声をかけ、王宮近くで降ろしてもらった。

長旅ご苦労。

「ルレイア…良いのか?」

タクシーから降りたルルシーが尋ねた。

「何がですか?」
 
「王宮まで、まだちょっとあるけど…」

「えぇ。さすがにタクシーで王宮までは入れませんからね」

「あ、そうか…」

王宮の近くまで運んでくれただけで充分。

「じゃあ、どうやって入るんだ?正面玄関から…は無理だよな?」

「そうですね。…どうすると思います?」

「…まさか、またルリシヤみたいに、荷物に紛れて侵入して…メイド服を着せられるのか?」

蘇る、ルルシーのトラウマ。

あれは俺にとっても、非常に口惜しい事件だった。

あの時、俺はアシミムに洗脳されていたせいで、ルルシーのお宝シーンを覚えていないのである。

俺が正気だったなら…その場に押し倒していただろうに。

今思い出しても残念ですよ。

「ルルシー…また胸パッドつけてくれないかな…」

「…何言ってんだお前は」

「ルルシーがご希望でしたら、またメイド服着て潜入しても良いんですけどね」

「全く希望してないから、別の方法があるならそっちで頼む」

…ちっ。

「仕方ない…。じゃあプランBで行きましょう」

「…プランB?」

「昔取った杵柄、って奴ですよ」

怪訝そうに首を傾げるルルシーに、俺は素敵な笑顔で微笑み返した。
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