The previous night of the world revolution~F.D.~
アシミムの凄まじい悲鳴を聞きつけたのだろう。

「今の悲鳴は…!?大丈夫ですか!?」

大振りの太刀を持ったルシードが、アシミムの寝室に飛び込んできた。

あ、どうも。

「きゃぁぁぁっ!きゃぁぁぁっ!?なに、何なの!?」

アシミムは、みっともない寝巻き姿のまま(しかも顔パック中)、ベッドの上であたふたしていた。

「ぷぷぷ。見てくださいよルルシー。あの慌てっぷり!これが一国の女王だと思うと、なっさけないですねー」

「…そりゃ突然部屋の中に侵入されたら、誰でもこんな反応になるだろ…」

ルルシーが、冷静に呟いていた。

え?俺何か悪いことでもしました?

よくよく見たら、この板が貼り付けてあった場所。

寝室に飾ってあった、大きな肖像画だった。

俺が板を蹴破って出てきたものだから、肖像画の一部が剥がれてしまっている。

丁度、アシミムの上半身があった部分だ。

…肖像画、下半身だけになっちゃいましたけど。

まぁ、半分だけ残ってるんなら御の字なんじゃないですか?

つーか、自分の肖像画を自分の部屋に飾るとか、どういう趣味してるんですか。

自意識過剰にも程があるのでは?

と、考えていると。

「あ、あなた達は…!」
 
「…!お前達…!」

アシミムと、寝室に飛び込んできたルシードが、同時に俺達に気づいた。

いやぁ。そんなまじまじ見られると、照れますね。

「お前達が…何故ここにいる?何故まさか、我が主を殺そうと…!」

ルシードが、太刀を構えながら言った。

…はぁ?殺す?

この縦ロールに、そんな価値があるとでも?

…それよりも。

「はい、これブロテからの手紙です。どうぞ」

何事もなかったように、俺は懐に入れていたブロテの手紙を、アシミム(顔パック中)に差し出した。
 
どうでも良いけど、そろそろパック、外して良いのでは?

「ぶ、ブロテ…誰なの?どういうことですの…!?」

「ちょっとルティス帝国にいられない事情が出来たので、密入国させてもらっちゃいました」

「…!?」

遊びに来ちゃった(笑)のノリで密入国しちゃいました。

国境の守りが薄過ぎるのが問題。

「…ルレイア、言葉を端折り過ぎだぞ。もっと丁寧に説明しろよ」 

ルルシーが横からツッコミを入れた。

え?丁寧に説明したじゃないですか。

もー、仕方ないですね。

「…とりあえず、説明したいんで着替えてきてください。人と喋る格好ですか?それが」

「…勝手に人の部屋に侵入した奴の態度か?それが…」

ちょっとルルシー。マジレスやめてくださいよ。
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