The previous night of the world revolution~F.D.~
しかも、以前ルリシヤと買い物に来た時は、袋詰めされたピンクのミミズペーストしか売ってなかったけど。

この中央卸売市場には、たくさんの種類のミミズペーストが売られていた。

スパイスを混ぜたミミズペースト、菜っ葉を混ぜたミミズペースト。

粗挽きミミズペーストに、乾燥ミミズペースト。等々。

…スパイス入りは分かるけど、粗挽きミミズペーストは気持ち悪いな。

粗挽きって…ソーセージじゃないんだから…。

ミミズの形が残ってると、非常に抵抗があるんだが。

シェルドニア人は、平然と粗挽きミミズペーストを大量購入していた。

うへぁ…。

「ルレイア…。ミミズペーストはやめとこ、」

「おっ、あれなんか良いですねー」

何だと?

ミミズペーストはピンク色だから、ルレイアのお眼鏡に適わないと思っ、

「シェルドニアアンコクミミズのミミズペースト。ほら、美味しそうですよ」

「うぉえっ…」

ルレイアが指差したのは、真っ黒なミミズペースト。

…何だろう。見た目だけなら、海苔の佃煮…って感じ。

「ちょっと味見してみましょうかー。ペロッ」

ルレイアは、試食のミミズペーストを指先につけて、舌でペロッと舐めていた。

勇気あるな、ルレイア…。

「ほら、ルルシーもどうぞ」

「いや、俺は…遠慮し、ぶはっ」

遠慮するって言ってるのに、ルレイアは自分の指に黒ミミズペーストをつけて、俺の口に捩じ込んできた。

ちょ、何だやめろって。

無理矢理舐めさせられた。

「どうですか?味は」

「う、うん…。あぁ…」

無理矢理舐めたミミズペーストは、塩味が効いていて、芳ばしい香りがして、意外にも…。

…美味しかった。

…畜生。なんか負けた気がする。

「ブラック・サンドイッチの味付けにぴったりですね。10キロ買って送っておきます」

まーた爆買い…。

そりゃ味は美味しいけど、だからってサンドイッチの中身にミミズが入ってるなんて、誰も思わないだろうな…。

「さーて、お次はーっと…」

「おい、ルレイア…。思う存分買い物するのは良いけど、もっとまともな食材を…」

「おっ。お魚が売ってますよー」

「あ、あぁ…」

お次は魚介類のコーナー。

本当に何でもあるんだな、この卸売市場…。

良かった。ルレイアが鹿の脳みそとかセミの塩漬けを買い出さなくて…。

魚だったら、まだまともな食っ、

「ほら。カラフルで面白いですねー」

「うげっ…。そういや、シェルドニア産の魚は、熱帯魚なんだった…」

鮮やかな黄緑色のヒレを、ひらひらしながら優雅に泳ぐ魚。

ピンクの水色の鱗がついた魚に、黄色の目をした魚。

…一切食欲をそそられない、蛍光色の魚達。

それから。

「おっ。こっちは格好良いですよ」

「ひぇっ…」

別の水槽には、目玉がギョロッと飛び出たグロテスクな魚。

まさに深海魚。

キモッ…。

どんな魚か気になる人は、「深海魚 グロい」で画像検索してみてくれ。まさにそんな感じ。

見るだけでもグロいのに、これを食べるなんて冗談じゃないぞ…。
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