The previous night of the world revolution~F.D.~
「美味しそうですけど、さすがにお魚はルティス帝国まで送ってたら、悪くなっちゃいそうですね」

「…そうだな…。送るなら冷凍便じゃないと…」

こんなグロい魚、どうやって食べれば良いんだ。

…めっちゃ生臭そう…。

「おっ。向こうにお肉コーナーがありますよ。シェルドニア王国は肉類の種類が豊富ですねー」

と言いながら、ルレイアは、今度は精肉コーナーに移動した。

お、おぉ…。

思い出した。以前、ルリシヤとスーパーに買い物に行った時。

確か肉類は、その場で解体して量り売りしてたんだよな。

ここが卸売市場ってことは、まさか生きたまま牛や羊が売られてるんじゃ…。

一瞬怯えた俺だったが、そうではなかった。

「お、おぉう…」

以前、スーパーの精肉コーナーで見た光景が再現されていた。

しかも、卸売市場だからか、スーパーの精肉コーナーより規模がデカい。

何匹(何頭?)もの牛、豚、羊、山羊などがフックに吊り下げられて、哀れな姿で切り売りされている。

うわぁ…。エグッ…。

よくよく見たら、肉の隣で、剥いだばかりの皮や、取り出したばかりでまだ生温かい内臓まで売られている。

…ひぇっ…。

それを食堂のおばちゃん風のシェルドニア人女性や、板前っぽいおじさんが、真剣な目で品定めし。

骨ごと大きな塊を、内臓も一緒に購入していた。

すげー…。あの内臓、どうやって食べるんだろう…。もつ煮とか…?

「さすが、シェルドニア王国の肉は鮮度が良いですね」

「そうだな…。何せ、その場で捌いてくれるんだもんな…」

俺は別に…あんな風に切り売りされてるんじゃなくてさ。

普通に、パックにグラム単位で売られてる肉が良いな。

あっちの方が使いやすいし。何よりグロくない。

いや、俺だって分かってるよ?

普段俺がルティス帝国で買ってるパック入りの肉だって、元々はこうやって、誰かが切り分けてくれたのを、店頭に販売してるだけで。

販売形態が違うというだけで、食べている肉は大して変わらない。

目の前で切り売りされるのが嫌で、パックに入ってるのならOKなんて、矛盾した考えだってことはよーく分かってる。

でも、嫌なものは嫌なんだよ。

だってグロいんだもん。

「ほら、見てくださいよルルシー。あのヘビ肉、プリプリしてて美味しそうですよ」

「あぁ、うん…美味し…。…え?」

ルレイア、今なんて言った?

へ、ヘビ?

俺がきょとんとしていると、ルレイアは更に、

「あ、ほら。ワニ肉もありますね。爪のところの肉、皮付きで。美味しそうですねー」

「あぁ、ワニな…。…え?」

わ、ワニ?

…ワニ肉って何?爪?皮?え?

俺の目の前に、超巨大なワニがフックに吊り下げられ。

ナタでぶつ切りにされていた。

「あ、あっちはウサギですよ。まだジタバタしてるウサギ。新鮮ですねー」

「あぁ、うんウサギ…。…え?」

今度は、更にグロテスクな光景が繰り広げられていた。

まだ生きているウサギが、ビニール袋の中でジタバタとしているのを。

棍棒みたいなのでガッガッと殴って、その場で絞めっ…。

…ここから先は、俺の口では言えません。
< 421 / 522 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop