The previous night of the world revolution8~F.D.~
第二部7章
ーーーーー…シェルドニア王国にやって来て、およそ10日が経過した。

その日、俺はとあるチラシを手に、にゅふふな笑いが止められなかった。

「…にゅふ。にゅふふふ…」

「…」

「にゅふふふ…」

「…おい、ルレイア」

テーブルと向かい合って、何やら書き物をしていたルルシーが。

耐え兼ねたように、くるりとこちらを向いた。

「…にゅふふ…」

「おい。そのキモい笑いをやめろ」

「…にゅふ?」

「気持ち悪いぞ」

…気持ち悪い、だって?

今の聞きました?恋人が楽しそうに笑ってるのに、それを気持ち悪いって?

酷いと思いません?微笑ましいなぁ、って見守ってくださいよ。

「その胡散臭い笑い方やめろ。何か良いことでもあったのか?」

「えぇ…。実はとっても良いことがありました…」

「そ、そうか…。そりゃ良かったな…」

良いことって何?って聞いてくれても良いんですよ?

まぁ、まだ教えてあげませんけど。

これはギリギリまで隠しておこう。

ルルシーはシャイですからね。事前に知ったら、恥ずかしがってキャンセルしてしまうかもしれませんから。

当日のお楽しみってことで。

「それより、ルルシーはさっきから何をやってるんですか?」

またしてもルルシーは、何やら教科書?のようなものを見ながら、ペンをカリカリ動かしている。

またお勉強ですか、ルルシー。精が出ますね。

「ん?あぁ…。シェルドニア語の勉強をな」

とのこと。

よくよくルルシーの手元を見てみたら、シェルドニア語中級、という本が置いてあった。

成程。シェルドニア語の勉強でしたか。

「前に来た時よりはマシになってるけど、まだまだ日常会話も覚束ないからな…」

「そんなに頑張らなくても、俺が通訳しますよ?」

「それが嫌なんだよ。いつまでもルレイアに頼りっぱなしじゃ情けないからな。自分でも喋れるようにしないと…」

いやん。ルルシー素敵。

頑張る姿が格好良いですね。

「この国にしばらく滞在するなら、シェルドニア語は読み書き共にマスターしておきたいんだ」

「そうですか…。ルルシーは勉強熱心ですね」

「お前に追いつく…のはとても無理だけど、せめて足を引っ張らないようにしたいからな」

俺は、ルルシーに足を引っ張られてるなんて一度も思ったことありませんけどね。

むしろ、俺の方がルルシーの足を引っ張ってるんじゃないかと心配ですよ。

ま、それはお互い様ってことなんですかね。

…とはいえ、こうして、ルルシーは頑張っているようですけど。

その頑張り、もしかしたら無駄になる可能性が…。

…と、思っていたら。

「…ん?」

噂をすれば何とやら、俺のスマホに、ルシードから連絡が入った。
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