The previous night of the world revolution~F.D.~
ルルシーとの、嬉し楽しいブライダルフェア体験会に参加した、その日の夕方。

俺とルルシーは、アパートに戻るなり荷物をまとめ。

ルシードに連絡して、アパートまで迎えに来てもらった。

無論、このまま箱庭帝国に向かう為である。






「今日はもう出発しないものと思っていた」

アパートまで車で迎えに来たルシードは、開口一番そう言った。

「仕方ないでしょう。今日は、そう…やむにやまれぬ事情があったんです」

「…ふざけた用事だったけどな」

ちょっとルルシー。それどういう意味ですか。

大事な用事だったじゃないですか。

「こんな洗脳大国に、一分でも長く居たくないですしね。もう用事も済んだことだし、俺達はさっさと退散します」

「…そうか」

自分の国を悪く言われて、ルシードが内心快く思っていないのは明らかだったが。

でも、洗脳大国という点は否定出来ないらしい。

そりゃそうですよ。洗脳大国なのは事実ですし。

「で、箱庭帝国行きの準備が出来てるそうですが」

「あぁ。我が主が箱庭帝国の代表に連絡を取って、貴殿らを受け入れてくれるよう要請した」

つまり、ルアリスのことですね。

「主曰く、快く引き受けてくれたそうだ」

でしょうね。

あいつ、無駄に律儀な男ですから。

まぁ、だからこそ俺は、箱庭帝国への亡命をルシードに打診したのだ。

多分ルアリスなら、俺とルルシーを迎え入れてくれるだろうから。

ルティス帝国から直接箱庭帝国に行くには、国境の警備が厳しくて無理だった。

だが、こうしてシェルドニア王国を経由すれば、比較的簡単に入国出来る。

「箱庭帝国への航空便を用意した。それに乗って、直接箱庭帝国に向かってくれ」

「ふーん…。…その飛行機、謎の電波を発する白い展望台なんてありませんよね?」

「…勿論だ」

精一杯の皮肉のつもりだったんだが、受け取ってもらえただろうか?

「ともあれ、箱庭帝国亡命の手配をしてくれたことには感謝しますよ」

まぁ、ルシードとアシミムが俺達にしたことを想えば、このくらいは当然ですけど。

「…貴殿に対する嫌疑が、出来るだけ早く解けることを祈っている。道中、気をつけて」

「それはどうも」

心にもない言葉だろうが、感謝して受け取っておきましょう。
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