The previous night of the world revolution8~F.D.~
第二部9章
ーーーーー…ルティス帝国、帝国自警団本部の一室にて。
「あの男は、今何処にいるんだ?」
私の「理解者」は、忌々しげに歯噛みしていた。
私だって同じ気持ちだ。
私も、私の理解者も、もう一人の理解者も。
三人共、同じ疑問を抱いている。
あの男は今、何処にいるのか、と。
…こんなはずではなかった。
あの男にサイネリア家当主殺害の容疑を擦り付け、殺人犯の容疑者にした。
そこまでは良かった。
それなのに、帝国自警団のブロテ団長が、余計なことをした。
事もあろうに、あの男を帝国自警団で保護したのだ。
そのせいで私達は、新聞社にブロテ団長のことをリークしてまで、あの男を孤立無援にしなければならなかった。
思惑通り、ブロテ団長はあの男の保護を解除した。
このまま行けば、あの男の逮捕は時間の問題だった。
…でも、そうはならなかった。
ブロテ団長が正式に保護を解除する前に、あの男が帝国自警団から姿を消したのだ。
問い詰めたが、ブロテ団長は「私は何も関知してない」と言い張った。
どう考えても、ブロテ団長があの男を何処かに逃したのだ。
とんだことをやらかしてくれたものだ。
ブロテ団長をしつこく問い詰めてでも、あの男の行き先を聞きたかった。
しかし、あまりにしつこく問い詰め過ぎると、新聞社にタレコミをしたのが私達だとバレてしまう為、それも出来ない。
それに、ブロテ団長のあの頑固な性格。
いくら問い詰めたとしても、簡単に口を割ることはないだろう。
結局のところ、私達には憶測するしかない。
ブロテ団長が、何処にあの男…ルレイア・ティシェリーを逃したのか。
国内は散々探し回った。『青薔薇連合会』所有の隠れ家も、危険を犯して探した。
でも、見つからなかった。
「…恐らくは高い確率で、あの男は既に国外に出ていると思う」
もう一人の理解者…協力者が、そう言った。
…これほど探しても見つからないということは、悔しいけどそうなんだろう。
あの男が行きそうな場所と言えば…。
「アシスファルト帝国か…それとも箱庭帝国か?」
この二つの国は、『青薔薇連合会』と懇意にしている。
あの男が訪ねていけば、間違いなく歓迎されていることだろう。…忌々しい話だ。
「足取りが掴めないから、何とも言えないけど…恐らくはそうだろうね」
「どうやって国境を越えたんだ?帝国騎士団が警備を強化してるはずだろう?」
…そのはずだ。簡単には逃げられないよう、包囲網を敷いているはずだった。
しかし、現実として、あの男は国外逃亡を成功させている。
「帝国騎士団なんて、全く当てにならない。あの男に買収されたか…。あるいは、アシスファルト帝国でも箱庭帝国でもない…別の国に逃げた可能性もある」
「…そうだな」
一度国外に逃げてしまえば、あとはいくらでも、何処にでも逃げられる。
…あの男は、何処まで私達をコケにするのか。
腹立たしくて、あまりに憎くて仕方がなかった。
「あの男は、今何処にいるんだ?」
私の「理解者」は、忌々しげに歯噛みしていた。
私だって同じ気持ちだ。
私も、私の理解者も、もう一人の理解者も。
三人共、同じ疑問を抱いている。
あの男は今、何処にいるのか、と。
…こんなはずではなかった。
あの男にサイネリア家当主殺害の容疑を擦り付け、殺人犯の容疑者にした。
そこまでは良かった。
それなのに、帝国自警団のブロテ団長が、余計なことをした。
事もあろうに、あの男を帝国自警団で保護したのだ。
そのせいで私達は、新聞社にブロテ団長のことをリークしてまで、あの男を孤立無援にしなければならなかった。
思惑通り、ブロテ団長はあの男の保護を解除した。
このまま行けば、あの男の逮捕は時間の問題だった。
…でも、そうはならなかった。
ブロテ団長が正式に保護を解除する前に、あの男が帝国自警団から姿を消したのだ。
問い詰めたが、ブロテ団長は「私は何も関知してない」と言い張った。
どう考えても、ブロテ団長があの男を何処かに逃したのだ。
とんだことをやらかしてくれたものだ。
ブロテ団長をしつこく問い詰めてでも、あの男の行き先を聞きたかった。
しかし、あまりにしつこく問い詰め過ぎると、新聞社にタレコミをしたのが私達だとバレてしまう為、それも出来ない。
それに、ブロテ団長のあの頑固な性格。
いくら問い詰めたとしても、簡単に口を割ることはないだろう。
結局のところ、私達には憶測するしかない。
ブロテ団長が、何処にあの男…ルレイア・ティシェリーを逃したのか。
国内は散々探し回った。『青薔薇連合会』所有の隠れ家も、危険を犯して探した。
でも、見つからなかった。
「…恐らくは高い確率で、あの男は既に国外に出ていると思う」
もう一人の理解者…協力者が、そう言った。
…これほど探しても見つからないということは、悔しいけどそうなんだろう。
あの男が行きそうな場所と言えば…。
「アシスファルト帝国か…それとも箱庭帝国か?」
この二つの国は、『青薔薇連合会』と懇意にしている。
あの男が訪ねていけば、間違いなく歓迎されていることだろう。…忌々しい話だ。
「足取りが掴めないから、何とも言えないけど…恐らくはそうだろうね」
「どうやって国境を越えたんだ?帝国騎士団が警備を強化してるはずだろう?」
…そのはずだ。簡単には逃げられないよう、包囲網を敷いているはずだった。
しかし、現実として、あの男は国外逃亡を成功させている。
「帝国騎士団なんて、全く当てにならない。あの男に買収されたか…。あるいは、アシスファルト帝国でも箱庭帝国でもない…別の国に逃げた可能性もある」
「…そうだな」
一度国外に逃げてしまえば、あとはいくらでも、何処にでも逃げられる。
…あの男は、何処まで私達をコケにするのか。
腹立たしくて、あまりに憎くて仕方がなかった。