The previous night of the world revolution~F.D.~
ーーーーー…その日帝国騎士団は、朝から大わらわだった。
何せ、何処かの誰かから、匿名で秘密の文書が送られてきて。
悪戯かと思って開けてみたら、自分達こそがサイネリア家当主殺害事件の真犯人だ、と書いてある。
それだけなら、まだ悪戯の域を出ない。
どっかの愉快犯みたいなのが、タチの悪い冗談のつもりで送ってきたのかと思うところだ。
しかし、その文書は、悪戯の割には色々なことを知り過ぎていた。
現場から見つかった証拠、その捏造方法まで、ご丁寧に書いてあったからだ。
その文書が届けられたことによって、帝国騎士団は突然の新情報に驚愕。
緊急の帝国騎士団隊長会議が招集された。
文書が届けられたことを聞いた、他の隊長達の反応は。
「何だと…?真犯人?何者だ?」
「馬鹿なことを。下らない悪戯に決まってる」
五番隊隊長のアストラエア、九番隊隊長のユリギウスは、懐疑的な反応。
一方、帝国騎士団長のオルタンスは。
「ようやく真犯人が現れたのか」
やれやれ待ってました、と言わんばかり。
…まぁ、こいつはずっと、ルレイアが犯人のはずがないって思ってるらしかったもんな。
かく言う俺も、ルレイアが本当にサイネリア家の当主を殺害したなんて思っちゃいないが。
「…そうか…」
二番隊隊長のルシェは、露骨にホッとしたような表情だった。
ルシェも、基本的にルレイアの味方だからな。
「証拠の捏造…。それは本当なんですか?」
と、尋ねる四番隊隊長、ルーシッド。
「現場から見つかったルレイアの頭髪は、ルレイアが経営する店でこっそり採取したもの…。指紋は裏社会で流通している指紋捏造キットを使って捏造したもの…。今日届いた文書には、そう書いてあった」
髪の毛はゴミ箱から拾ってきたもので、指紋は捏造。
簡単に言うが、実際にやろうと思ったら、相当入念な準備と資金が必要だ。
ルレイアを陥れようとした真犯人っていうのは、一体何者なんだ…?
「じゃあ、証言は?アジーナ女史が最後に、電話を使って執事に言った言葉…。『ルレイア・ディシェリーに殺される』と言ったんだろう?」
六番隊隊長のリーヴァが聞いた。
…あぁ。確かに証言があったと言ってたな。
「それに関しては…結論から言うと、変装だそうだ」
少なくとも、文書にはそう書いてあった。
「へ、変装…?」
変装と言っても、わざわざルレイアの顔を象った仮面を被った訳じゃないそうだ。
「黒いコートを着て、鎌を持って、『復讐しに来た』と一言言えば、俺達だってルレイアじゃないかって誤解するだろ」
そういうことだ。
ましてや、アジーナ女史は、ずっとルレイアに怯えていた。
アジーナ女史には、ルレイアに殺される動機があった。
その負い目と怯えから、わざわざ帝都から逃げて、地方の別荘に引きこもっていたくらいなのだ。
自分を殺しに来る者がいたら、ルレイアに違いない。
その思い込みと殺されることへの恐怖、そして暗がりで見えた黒いコートと黒い鎌を見て。
咄嗟に受話器を取って、『ルレイアに殺される』と口走ったのだろう。
何せ、何処かの誰かから、匿名で秘密の文書が送られてきて。
悪戯かと思って開けてみたら、自分達こそがサイネリア家当主殺害事件の真犯人だ、と書いてある。
それだけなら、まだ悪戯の域を出ない。
どっかの愉快犯みたいなのが、タチの悪い冗談のつもりで送ってきたのかと思うところだ。
しかし、その文書は、悪戯の割には色々なことを知り過ぎていた。
現場から見つかった証拠、その捏造方法まで、ご丁寧に書いてあったからだ。
その文書が届けられたことによって、帝国騎士団は突然の新情報に驚愕。
緊急の帝国騎士団隊長会議が招集された。
文書が届けられたことを聞いた、他の隊長達の反応は。
「何だと…?真犯人?何者だ?」
「馬鹿なことを。下らない悪戯に決まってる」
五番隊隊長のアストラエア、九番隊隊長のユリギウスは、懐疑的な反応。
一方、帝国騎士団長のオルタンスは。
「ようやく真犯人が現れたのか」
やれやれ待ってました、と言わんばかり。
…まぁ、こいつはずっと、ルレイアが犯人のはずがないって思ってるらしかったもんな。
かく言う俺も、ルレイアが本当にサイネリア家の当主を殺害したなんて思っちゃいないが。
「…そうか…」
二番隊隊長のルシェは、露骨にホッとしたような表情だった。
ルシェも、基本的にルレイアの味方だからな。
「証拠の捏造…。それは本当なんですか?」
と、尋ねる四番隊隊長、ルーシッド。
「現場から見つかったルレイアの頭髪は、ルレイアが経営する店でこっそり採取したもの…。指紋は裏社会で流通している指紋捏造キットを使って捏造したもの…。今日届いた文書には、そう書いてあった」
髪の毛はゴミ箱から拾ってきたもので、指紋は捏造。
簡単に言うが、実際にやろうと思ったら、相当入念な準備と資金が必要だ。
ルレイアを陥れようとした真犯人っていうのは、一体何者なんだ…?
「じゃあ、証言は?アジーナ女史が最後に、電話を使って執事に言った言葉…。『ルレイア・ディシェリーに殺される』と言ったんだろう?」
六番隊隊長のリーヴァが聞いた。
…あぁ。確かに証言があったと言ってたな。
「それに関しては…結論から言うと、変装だそうだ」
少なくとも、文書にはそう書いてあった。
「へ、変装…?」
変装と言っても、わざわざルレイアの顔を象った仮面を被った訳じゃないそうだ。
「黒いコートを着て、鎌を持って、『復讐しに来た』と一言言えば、俺達だってルレイアじゃないかって誤解するだろ」
そういうことだ。
ましてや、アジーナ女史は、ずっとルレイアに怯えていた。
アジーナ女史には、ルレイアに殺される動機があった。
その負い目と怯えから、わざわざ帝都から逃げて、地方の別荘に引きこもっていたくらいなのだ。
自分を殺しに来る者がいたら、ルレイアに違いない。
その思い込みと殺されることへの恐怖、そして暗がりで見えた黒いコートと黒い鎌を見て。
咄嗟に受話器を取って、『ルレイアに殺される』と口走ったのだろう。