The previous night of the world revolution~F.D.~
「痛い痛い痛い。ルルシー痛いです〜」

「お前がふざけたことばっかり言うからだ」

俺がいつふざけたって言うんですか。

でも、俺だってやられっぱなしじゃありませんよ。

こうなったら。

「うぇぇぇん、シュノさん!ルルシーが痛いことするんですよー」

泣きつく他ない。シュノさんに。

「ルレイア、可哀想…!」

「うえーん、シュノさん〜…」

「あっ…!お前、またシュノに泣きついて…」

ふっ。聞こえませんねぇ。

シュノさんは優しいですから。いつだって俺の味方をしてくれますよ。

案の定、シュノさんはキッ、とルルシーを睨んだ。

「ルルシー!それは酷いと思うわ。ルレイアに乱暴するなんて!」

「いや、あのな。シュノ…。俺は別に乱暴したんじゃなくて、ルレイアに危機感を抱いてもらいたくてな?」

シュノさん相手に、しどろもどろ。

いやはや。仲間がいるって素晴らしいですね。

仲間の有難みを感じる、今日この頃です。

…さてと。再会のお祝いパーティーは勿論開きますけど。

その前に。

「それでアイズ、ずっと聞こうと思ってたんですけど」

「うん。何?」

「真犯人って、結局誰だったんです?」

俺を陥れようとした愚か者の始末は、ちゃんとしなきゃいけませんからね。

ムカつく愚か者をぶっ飛ばして、仲間達と飲む酒は最高に美味しいに違いないですよ。

「お前…。最初にそれを聞けよ…」

え?ルルシー、今何か言いました?

「帝国騎士団に真犯人が名乗り出たから、俺の容疑が晴れたって話でしたけど」

メールにはそう書いてありましたね。

「あぁ、うん。名乗り出たって言うか…正確に言うと、真犯人は別にいる、ってほのめかしたらしいよ」

へぇ?

「つまり、そいつは俺の容疑を晴らすことで、俺に国内に戻ってきて欲しかった訳ですか」

「えっ…」

ルルシーが驚愕して、こちらを向いたが。

それしか有り得ないでしょう。どう考えても。

「ど、どういうことだ?ルレイア…」

「俺を嵌める為に容疑者にしたけど、思いの外俺が逃げるものだから、何処に行ったか分からなくなったんでしょう」

まさかシェルドニア王国に逃げて、その後は箱庭帝国で優雅にルアリスをおちょくってるなんて、思ってもみなかった。

俺が何処に行ったのか、血眼になって探したけど見つからない。

こうなったら俺にルティス帝国に戻ってきてもらおうと、真犯人の情報をほのめかした。

容疑者でなくなれば、俺が戻ってくるとでも思ったんでしょう。

まぁ、実際にこうして戻ってきたのだから、その通りになりましたけど。

「で、戻ってきてもらう為に、俺の容疑を晴らしたんでしょうね」

「戻ってきてもらう為、って…。ルレイアにルティス帝国に帰国させて、何をしようと…」

「そりゃ、直接対決の為じゃないですか?」

「…!?」

それしかないでしょう。真犯人が俺を誘き寄せた理由なんて。

そんなことは分かっていた。俺は、真犯人に命を狙われる為に、ルティス帝国に戻ってきたのだ。
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