The previous night of the world revolution~F.D.~
何度も言うように、俺だって他人に復讐した身ですから。

人様の復讐する権利を、とやかく言ったりしませんよ。

俺は自分の仕事をしただけですけど、それでもあなた方が俺のしたことを許せないなら。

それはあなた達の勝手。

だから、復讐したいなら好きなようにすれば良い。

裏切られた者が持つ、当然の権利ですから。

人様から、復讐する権利を取り上げたりはしません。

…ただし、その復讐が成功するかどうかは別の話。

つまるところ、黙ってやられる気はないということです。

ここまでやって来るのは大変だったでしょう。

たかが地方の私立騎士官学校の生徒ごときが。

あまつさえ、『青薔薇連合会』幹部のもとまでやって来た。

一体どれほどの憎しみと怒りの力があれば、そこまでのことが出来るのか。

あなた達の復讐心は本物だ。

同じく復讐者だった者として、心からの敬意を送ります。

その上で。

「回りくどいのは、もうやめにしましょう」

俺は、両手に一本ずつ、剣を構えた。

いつもの鎌ではなく、敢えてこちらの剣を選んだのは。

復讐者である、彼らへの敬意だ。

「俺を殺したいなら、直接かかってきてください。全力でお相手しましょう」

「…貴様…!」

エルスキーの目は、憎しみと怯えに染まっていた。

どうやら、自分達が罠に嵌められたことを気付いたようですね。

「あれだけのことを、俺達にしておいて…。その上で、俺達を闇に葬り去るつもりか…!?」

「あなただって、復讐の為に悪事に手を染めたじゃないですか」

ブロテを騙し、煽って、レーザー兵器を買わせた上に。

殺されたサイネリア家の当主なんて、完全にとばっちりじゃないですか。

あなた方とて、復讐の為に他人を犠牲にしている。

俺にケチを付ける資格はない。

そして、何より。

「いくら思いが強くても、力がなければ復讐は果たせない」

俺は力があったから、復讐を果たせた。

あなた方は力が足りないから、俺に手が届かなかった。

それだけのことだ。

「あなた達の闇は深い。よくぞ、ここまで辿り着けたものです」

褒めてあげますよ。その努力と闇の深さを。

…だけど。

「それでもまだ、俺の闇には及ばない」

俺は、左手に持った剣を振り上げた。

…今度は、もう片手だけじゃ済ませない。

命をもらう。…三人共。

「…ルナニア」

復讐者は最後に、かつて信じた俺の名前を呼んだ。




「地獄に堕ちろ」




…上等。

そのつもりですよ。勿論。

だから、あなた達は。
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