The previous night of the world revolution~F.D.~
ーーーーー…ルレイアが、復讐者の三人を相手にしている間。

相棒である俺は、隣室で待機していた。

本当は、俺もルレイアと一緒に復讐者共の相手をしたかった。

だが、ルレイアが断ったのだ。

「彼らは俺に恨みがあるんだから、俺が相手をします」の一点張りで。

仕方がないから、隣の部屋で待機することで我慢した。

…あいつなら大丈夫だと思うけど、でもあの復讐者達は、これまで何度もルレイアを狙ってきた。

万が一のことがあったらと思うと、はらはらして気が休まらない。

やっぱりリビングに乗り込もうか?

と、何度考えたことが分からない。

ルレイア達の声までは聞こえてこなくて、あいつらが今何を話しているのかは分からない。

が、大体想像はつく。

きっと、ルレイアにありったけの恨み節をぶつけてるんだろうな。

ルーチェスとアイズが調べてくれた結果、敵は、ルレイアがルナニアの名前でランドエルス騎士官学校に通っていた時のクラスメイトだったそうだ。

ミューリアと、エルスキーと…アシベルっていう貴族。

ルーチェス曰く、この貴族出身のアシベルって男が出資して、あれこれ悪さをしていたんだろうとのこと。

ルレイアがランドエルス騎士官学校に行っていたのは、もう何年も前の話だ。

つまり、その何年も前からずっと、彼らはルレイアへの復讐心を燃やしていたということだ。

ルレイアを何年も付け狙い、あまつさえ殺人犯に仕立て上げようとしたことは許せない。

だけど…彼らの気持ちは、分からなくもない。

ルレイアに裏切られ、屈辱と痛みを味わわされ…。

自分達を騙したルレイアに、復讐したいと思うのは当然のことだった。

ルレイア自身も、きっとそう思っているだろう。

同じ復讐者として。

そして、その復讐の刃は、ルレイアの喉元まで迫り…。

…しかし、届くことはなかった。

寸前で、その刃は叩き落された。

ルレイア自身の手によって。

仮にルレイアが何もしなかったとしても、俺がいる限り、何人たりともルレイアに手出しはさせない。

だからいずれにしても、この復讐は達成されなかった。

あの三人の身元が判明した時点で、あいつらに勝ち目はなかった。

…というか、ルレイアが海外に逃げた時点で、あいつらは詰みだった。

思いの外、ルレイアに海外とのコネが強かったお陰だ。

シェルドニア王国や箱庭帝国に恩を売っておいて、本当に良かった。

それから、ルレイアを庇ってくれた帝国自警団のブロテにもな。

それに…不本意だが、帝国騎士団にも。

海外逃亡が出来たのは、勿論ブロテやアシミム、ルアリスのお陰でもあるが。

帝国騎士団が、実質ルレイアを見逃したからだ。

オルタンスやルシェやアドルファスは、本気でルレイアを捕まえる気がなかった。

ルレイアを無実だと確信して、ルレイアを捕まえようとする他の隊長達の声を抑え、海外逃亡を黙認してくれた。

そのお陰で、逆に三人の復讐者を追い詰めることが出来たのだ。

ルレイアの方が、あの三人よりも味方が多かった。それが勝因だった。

皮肉なもんだよな。俺達、マフィアなのに。
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