The previous night of the world revolution~F.D.~
今日のミュージカルデートは、俺ではなく、マリーフィアの方から誘ってきたものだ。

当然快諾して、こうして帝都の劇場で待ちあわせしたのだが…。

「あっ…ルナニアさん…。ご機嫌よう」

「ご機嫌よう、マリーフィアさん」

マリーフィアは今日も、ピンクのリボンがついた、ピンクのワンピースをまとっていた。

何度か会って、マリーフィアの服装を見て気づいたことだが。

結構少女趣味って言うか、キラキラしてるんですよね。

いつだってゴスロリ大好きな俺にとっては、非常に不愉快。

でも、にこやかに笑顔で対応しなければならない。

さながら接客業の気分。

「今日も素敵ですね、マリーフィアさん。あなたがあまりに綺麗だから、声をかけるのに気後れしてしまいそうでした」

「まぁ、そんな…」

もじもじ。

この程度の軽いジャブで照れまくっているのだから、この女がいかにチョロいか、お分かりいただけることだろう。

マリーフィアの少女趣味は、最初に会った時より、更に加速している気がする。

メイクだって、甘ったるいピンク色でまとめてるし。

リボン付きのハイヒールのパンプスなんて、いかにも勝負靴って感じだ。

さながら、彼氏との初デートに望む小娘のよう。

…ふむ。これは良い兆候ですね。

「さぁ、行きましょうかマリーフィアさん。そろそろ開場時間ですよ」

「えぇ、そうですわね…」

…この時点で、マリーフィアは既に、何か言いたそうな顔でもじもじしていた。

今日のマリーフィアがいつもと違うことには気づいていたが、俺は敢えて、しばし泳がせてみることにした。
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