The previous night of the world revolution~F.D.~
そこからアイズ視点で、結婚式がつつがなく進行していった。

新郎新婦に祝辞の言葉が述べられ、ケーキ入刀の儀式が始まる。

「おぉーっ!でっけーケーキ!美味そー!」

豪華なウェディングケーキに、アリューシャ大興奮。

「面白味のないケーキだな。真っ白で…」

「はい。ルレイア師匠だったら、黒いウェディングケーキの方が似合いますよね」

「…ケーキは普通白だろ…」

その巨大ケーキに、ルレイアとマリーフィアの二人が、笑顔でナイフを入れる。

これも結婚式の定番イベントだよな。

「ルルシー、辛いわよね…。本当なら、ルレイアとケーキ入刀するのはルルシーだったのに…」

またしても、シュノが慰めてくれたが。

ありがとう。余計なお世話だ。

「ケーキ美味そー!アリューシャが食べたかったー!」

アリューシャはうるせぇし。

ちなみにそのウェディングケーキは、その後カットして参列者に振る舞われていた。

味の感想は…後でアイズに聞いてくれ。

その後、お祝いの演奏会が開かれたり、新婦から母親への手紙などの、一般的な定番イベントが次々と開かれ。

式の最後に、あのメインイベントが始まった。

「健やかなる時も病める時も、新婦(新郎)に愛を誓いますか」云々のアレ。

厳かな雰囲気のもと、いよいよ誓いの言葉の宣誓である。

「新郎ルナニア・ファーシュバル。あなたは健やかなる時も病める時も、喜びの時も悲しみの時も、新婦を愛し、共に助け合うことを誓いますか?」

「はい、誓います」

ルレイアはいけしゃあしゃあと、微笑みを浮かべて頷いた。

大嘘。

しかし、そんなことはあの式場で、アイズ以外誰も知らない。

「すげーなルレ公。躊躇いなく嘘ついたぞ」

「内心『知るか馬鹿』とか思ってそうですね」

「『誓う訳ないだろクズめ』かもしれないぞ」

お前ら、やめなさい。

マリーフィアが可哀想になるだろ。

「ルルシー、あれは嘘だから信じちゃ駄目よ。ルレイアはいつだって、ルルシーを一途に愛してるんだからね。私が保証するわ」

「ありがとう、シュノ。そんな保証は要らない」

俺がへこんでると思ってるのか。全然大丈夫だから気遣ってくれなくて良いぞ。

「新婦マリーフィア・ユール・カミーリア。あなたは健やかなる時も病める時も、喜びの時も悲しみの時も、新郎を愛し、共に助け合うことを誓いますか?」

「はい、誓いますわ」

画面越しでも分かる。そう答えるマリーフィアの顔が、愛と希望に満ち溢れているのが。

…罪悪感。

非常に辛い。申し訳なくなってくる。

俺の表情が思わず暗くなってしまったことに気づいたシュノは、何を誤解したのか、

「ルルシー…。やっぱりショックなのね。本当なら、ルレイアの隣で愛を誓うのはルルシーのはずだったのに…」

「…あのな、シュノ。ありがとう。でも違うから」

「元気出して、ルルシー」

「…だから違うって」

何で俺が憐れまれてるんだよ。畜生。
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