The previous night of the world revolution~F.D.~
結婚式の前、新婚旅行の行き先を決める時。

何処に行きたいかとマリーフィアに尋ねると、意外なことに彼女は箱庭帝国を提案した。

「治安が悪そうで心配」と言っていたのに、どういう心境の変化なのか。

「マリーフィアさん…今更ですが、良かったんですか?」

「?何がですの?」

「新婚旅行の行き先…。あなたが箱庭帝国が良いと仰ったので、そうしましたが…」

「あぁ…。それは良いんですの」

マリーフィアは頬を赤らめて答えた。

何が良いんですか。

「最初にルナニアさんと会った時、旅行の話をしたでしょう?覚えていらっしゃる?」

「えぇ、覚えてますよ」

「あの時、ルナニアさんが教えてくださったじゃないですか。箱庭帝国はおすすめの観光地だって…。あの時から、箱庭帝国に行くのが夢だったんですの。ルナニアさんと一緒に…」

「そうなんですか…。じゃあ、夢が叶いましたね」

「えぇ…」

にこっ、と微笑むマリーフィア。

俺は全然嬉しくありませんよ。

箱庭帝国に来るなら、ルルシーや仲間達と一緒が良かった。

何が嬉しくて、こんな小娘と…。

…まぁ良い。

童貞お坊っちゃまルアリスが統治するこの国は、俺の第二のテリトリーと言っても過言ではない。

この国なら、勝手が分かっている。

少なくとも、シェルドニア王国よりは遥かにマシ。

それに箱庭帝国なら、俺達の「専属ガイド」をお願い出来ますからね。

そういう意味では、他の国よりやりやすいだろう。

これから新婚旅行の間、少しでも快適な状態で過ごせるよう、手は尽くしておかないといけませんね。

…あと、ルルシー達にお土産買って帰ろっと。

「あ、そろそろ着陸するみたいですよ」

「そうですわね。…初めての箱庭帝国。とても楽しみですわ」

機内に、着陸態勢に入るというアナウンスが入り。

いよいよ、俺とマリーフィアの新婚旅行が幕を開けようとしていた。
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