社内捜査は秘密と恋の二人三脚
「どうなってたかって?見られたらまずいのはあっちでしょ。なんでこっちがこそこそしなきゃならないのよ」
「だからだろ。ここで何かあってもこんな時間だし誰も来ない。男二人に君は女ひとり。何かされてそれをネタにゆすられたら君は何も言えないだろ。気をつけろよ」
「何それ。犯罪ドラマじゃあるまいし、そんなことあるわけないでしょうが」
「よく言うよ。君だって変だと思ったから忍び足で近寄って様子をうかがっていたんだろ?話している内容も少し聞いたんだろう?」
「そうよ、あの金額五千万以上計上してるって言ってたわよ。ちょっと何なの?ここにある書類でそれが載っているって事は……」
「ちょっと待て。落ち着け。とにかく君の書類を片付けよう。時間も時間だ」
「でも、あれって絶対不正よ。五千万隠したファイル見ないと……」
彼が私の腕をつかんだ。
「おい、落ち着け」
「私、数字オタクなの。この数字を知ってしまったら、最後まで追求しないと気になってしょうがない」