社内捜査は秘密と恋の二人三脚
まずいよ。なんとなく、まずい。
専務が私をじっと見ている。実は昨日彼と確認したが、箱の中身が全て重要書類だとわかり、回収に来る前もう一度応接室へ運び込んだ。全部コピーしないとまずいとわかったからだ。
専務が私に内緒で箱に詰めた内容は、本当に極秘の取引の領収書だったのだ。彼が夜までかけてコピーをして箱だけまた下へ戻したと聞いている。
「……あの、何か?」
「実はこちらの書類も昨日出し忘れてね。付箋のついているところだけ、外して出しておいてもらえる?」
「あ、はい」
「ほら、僕は今日午前中いっぱいかけて社長と打ち合わせだから、その間にやっておいてもらえるかな?」
え?急にそんな……。
頼まれていた監査用のデータもパソコンに取り込んでまとめないといけないのに。