社内捜査は秘密と恋の二人三脚

「北村さん。今日は定時であがりたいから急いで残りの仕事を片付けよう」

 私が書類を片付けている間に、夕方専務は席を外していた。しばらくして戻ってくると、私に向かって言った。

「そろそろ定時だよ。今日は一緒に食事しながらお酒でも飲みに行こう。日頃のお礼に奢らせてくれ」

 急にじっと私を見て言う。一体何事なの?びっくりして専務を見ていると、いつもの笑顔を見せた。

「なんだい?用事でもあるの?」

「あ、いいえ……」

「じゃあ、いいだろ?片付けて下のロビーで待ちあわせだ。いいね?」

「……はい」

 専務はお疲れ様と言ってあっという間にフロアへ出て行く。皆が専務に挨拶している。私も急いで片付けをはじめた。
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