社内捜査は秘密と恋の二人三脚

 目の前でボサボサ頭を掻きながら呆れている。何なのよ、もう。そうだ、問題はそこじゃない!

「そうだ、えーっと、確か鈴木さんでしたよね?あなたは一体何の用があってここにいるんです?応援で入ったばかりの人がこんな時間ここにいるって変でしょ」

「俺のこと聞いたのか?部長だな……なんて言ってた?」

「会計士で関連会社から監査前の応援に来てくれた人……確か鈴木賢人さん、ですよね?」

「その通り。あと、ここだけの話だが、俺が今ここにいるのは、君と違ってあいつらをつけてきたからだ」

 はあ?つけてきた?何言ってるのこの人?そんなわけないじゃない。大体、あの二人が誰か私でさえ知らないのに、この人が知ってるなんてあり得ない。じーっと彼を見た。

「面白い顔してる。ククッ……」

 口を押さえて笑ってる。初対面なのに失礼な人だな、何なのこの人!

「ちょっと、何なの?あなた探偵?だって応援とか絶対嘘でしょ。あの二人を追いかけてきた?知りもしないのに?」
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