社内捜査は秘密と恋の二人三脚

「ああ、お疲れ様。あまり飲まないでね」

 部長の言いたいことはわかっている。飲み過ぎて余計なことを口走るなと言っているのだ。

「もちろんです」

 そう言うと、下へ降りた。

 専務が近くのホテルのバーを案内した。私は一度も来たことがなかったが、専務は常連だったようだ。

 ボーイはすぐに畑中様と言うと、少し離れた六人掛け用のラウンドスタイルのソファ席に案内された。

「え?」

「ああ、いいんだよ。これから人がもう少し来る。でも、しばらくの間は僕らふたりだよ」

「……誰が来るんですか?」

 私が立ったまま聞くと、専務は笑った。
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