社内捜査は秘密と恋の二人三脚

「君も知っている社内の人間だ。でも今しばらくは邪魔をして欲しくないから来ないように言ってある……座りなさい」

 最後のひと言は命令だった。躊躇しだした私の様子を見て、座るように指示した。

 専務はボーイが差し出したカクテルのメニューを私に見せた。

「何がいい?」

 ボーイを見ながら言った。

「柑橘系で少し甘めのアルコール度数低めのカクテルを」

 ボーイが頷くと、専務はウイスキーのロックとサラダやピザを頼んだ。

「……さてと。正直に話して欲しいんだ」

 やはり、あのことだ。こんな目初めて見た。でもこれがこの人の本当の姿だったのかもしれない。つばを飲んで答えた。
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