社内捜査は秘密と恋の二人三脚

「やはり。本社の俊樹のお兄さんの、陽樹専務の……企画室にいる方ですね?」

「さすがですね。俺と話したことありましたか?だとしたら、覚えていなくてすみません」

「いいえ。陽樹専務の横を歩いている姿を何回か目にしてました。その長身、筋肉、あとその鋭い目。忘れられませんでした」

「……そうでしたか。改めて挨拶します。本社役員企画室長の鈴村です」

「……はは、鈴木ならぬ、鈴村さんだったわけですね。ここへ入られたのは専務の指示?」

「いや。会計部長がおかしいと気付いて連絡してきたんです。ああ、彼は本社からここの監視役に来ているんですよ」

「そうだったんですか。うちの峰山、長田の二人が大阪の美術館との取引で不正をしてお金を得ている可能性があります。部長は……気付いていない可能性があります」

「君はよく気付いたね」
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