社内捜査は秘密と恋の二人三脚

「ああ、それは斉藤から聞いていますよ。北村さんは頭の回る人ですね。一度会って話しただけですけど、無駄に説明する必要もなくて本当に助かります。ただ、専務に何か気付かれているとすると危険ですね」

「ああ。やめろと言ったんだが、書類の数字を一度見たら、横領金額をすぐに計算、把握してしまったんだよ。それ以降、結構必死になって探っている。あれは性格だな」

「北村さん、会計部出身だから、簿記なんかも詳しいんですよね。帳簿読み込み早いって斉藤が言ってましたよ。そういえば、鈴村さんは畑中専務と面識あるでしょ。ばれてるんじゃないですか?」

「どうだろうな。君だって気付かない程度には変装しているし、専務とはここへ潜入してから、面と向かって何も話してない。元々、派閥が違うのでそんなに交流もないんだよ」

「まあ、でも気をつけた方がいいですよ。監査前だし警戒していると思います。あの二人もしょっちゅう席外していて仕事していませんよ」

 文也がコーヒーを運んできた。
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