社内捜査は秘密と恋の二人三脚

 警察が来て、彼女達を病院へ搬送、状況を確認した。眠り薬を嗅がされていたようだ。すぐに本社経由で畑中専務を拘束する手配をした。峰山、長田は逮捕された。

 大変な騒ぎになった。ただ、横領を暴くために潜入したが、まさかこんなことになるとは思いもしなかった。

 病院で斉藤に関根課長が付き添い、俺は里沙に付き添った。それぞれ別な部屋に移されている。

 刑事事件となると会社への影響も大きい。内部で処理出来なくなりそうだ。

 里沙の青白い頬を撫でながらじっと見つめた。最初に会った時から、巻き込みたくなくて説得したのに、結局巻き込んでしまった。あいつらへの怒りがフツフツと蘇る。彼女を守れなかったことを後悔するばかりだった。

「……ん……」

「里沙、気がついたか?」

 彼女は睫毛を震わせてまぶしそうにゆっくり目を開けた。視線を俺に向けると、小さく声を出した。
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